ニューヨークで国際離婚を考える:【ハーグ条約】 アメリカの空港から飛び立てるか?

【ハーグ条約】 アメリカの空港から飛び立てるか?

http://ameblo.jp/miyamotolaw/entry-11660571139.html

2013年11月04日(月) 09時59分20秒
テーマ:ハーグ条約

来年4月から、日本がハーグ条約に正式加盟すると報道された(らしい)。 そして、その意味は誰にも分からない。

条約の理念や仕組みについては、弁護士を筆頭に専門家達(米国政府のご用達・日本通の大学教授含む)が繰り返し説明しているので、ここでは触れない。 なにより、理論だけで物事が運べば苦労はない。  

理論でないのは、今後、片親の同意や裁判所の許可をもらわずに日本に子供を連れ去った場合、アメリカと日本の両国内で問題になる【可能性】が高まるであ・ろ・う・こと。 しかし、現実的に、どの様な影響が考えられるか?

まず、ハーグ条約には牙がないと理解して構わない【らしい】。

つまり、アメリカの空港から飛び立つことが出来れば、何も起こらない・起こせない【可能性】が高いと考えている弁護士も少なくない。

理論しか持たない専門家には理解出来ないが、問題解決屋には想像可能だ。

本気で、アメリカ政府が、日本人女性によるアメリカ市民である子供の誘拐を【阻止】したければ、簡単に空港敷地内(アメリカ国内サイド)で出来る。 航空会社からの協力を取り付けることも難しいことではない。 日本行きの全ての子供連れ女性に対して、出国管理や空港職員から、質問を一つさせればいい。

『この子の父親からの同意書を確認させて頂けますか?』

同意書(または裁判所命令や合意書)の提示がなければ、片親だけで海外渡航する権利を確認するために、限定的な拘束をすれば済む。 日本をハーグ条約に加盟させるより効果的だが、単純に解決してしまわなかったのは外交政治上の考慮だから、それを言っても仕方がない。 

一部のメディア・政治屋・利権団体が【日本=誘拐天国】と騒いでも、国家レベルでのアメリカにとっては、結局はこの程度の問題である現実を認識し、【現場】での対応策を考えねばならない。

アメリカに踊らされている専門家達に振り回されるだけでは、ハーグ条約加盟・国内法整備・条約執行等がなし崩しに行われてしまう。 その結果、アメリカ在住で、親権問題を抱える日本人【も】非常に困ることになる。 ただでさえ、弁護士費用が高いアメリカで、これ以上高くなるような状況は、弁護士としても歓迎出来ない。
 
日本政府としても、本来は【自分勝手な個人の問題】であるべきことを、国家間レベルで煩わされたくないのが本音だ。 ドメスティック・バイオレンスや児童虐待の問題があろうがなかろうが。 

日本としては、当然すべきことはする。 しかし、アメリカ基準からすると、日本はもともと【あまりしないシステム】なので、日本へ子供を誘拐しても大したことはされないだろうといった見方がある。 条約は自動的な問題解決を提供しない。 日本政府が解決不可能な場合、当事者同士の問題に逆戻りして、アメリカ人が東京・大阪の裁判所で訴訟を開始することが【出来れば】、そこで解決することになる【らしい】。 

脱線するが、【日本では単独親権だから、アメリカでも問題ないと思った】といった台詞が出回って久しい。 これを流布したのは、ドメスティック・バイオレンス被害者の支援団体だろう。 一見悪くない【台詞】だが、アメリカの普通の弁護士や裁判官には、『私は子供の誘拐確信犯です』としか伝わらない。

お陰様で、現場は非常に困ったことになっている。

『勝手にアメリカで結婚し、子供を生み、都合のいい時だけは日本的にやります。』 この理不尽さを理解出来る裁判関係者は皆無だろう。 危険なのは、当事者や支援団体がこの甘い台詞に酔っている現実だ。

この台詞が作られた背景は理解出来るが、【日本人女性は例外なく子供を誘拐するから要注意】といったカタチで、裁判所レベルでは大きな影響を及ぼしている。 単純に、夏休みや正月休みに日本へ里帰り出来ない親子が大勢いる。 当然、里帰りは権利でもなく必要なモノでもないが、日本在住の家族の事故や重病の場合でも、子供と一緒に一時帰国出来ない親達もいる。 

そして、本当にドメスティック・バイオレンスや児童虐待から逃げるために、逃げてから安心して暮らすために、何とか日本へ戻ることを考えている被害者の選択肢を狭めてしまっている。

繰り返すが、空港から飛び立つまでが勝負だとも言える。アメリカから子供を誘拐したいなら、冷静な狡猾さ、緻密な準備、実行力、そしてサポートが欠かせない。 しかし、犯罪者として取り扱われることになっても、もともと犯罪者でない人間に犯罪者として考え・行動することは難しい。  

10年前