日経:親権停止申し立て27件 十分食事与えず・親族引き取り反対

親権停止申し立て27件 十分食事与えず・親族引き取り反対

2013/7/25 13:00

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2501A_V20C13A7CC0000/

厚生労働省は25日、児童相談所長が親権停止を申し立てた27件の一部を公表した。母親が子供に十分な食事を与えていなかった疑いのあるケースや、子供に暴行していた親が親族宅への引き取りに反対したケースなどがあった。

 親権を巡っては従来、子供の親族や児童相談所長らの申し立てに基づき、家裁が審判を経て親権喪失の決定を出す制度があったが、無期限で親権 がなくなることをためらって活用が進まなかった。このため、2012年4月施行の改正民法で、最長2年間の親権停止の申し立てができる制度が新たに設けら れた。

 厚労省が公表した事例では、脱水症状や栄養失調の子供が入院した病院からの通告で、母親が十分な食事を与えていない疑いが判明。母親が子供の施設入所を拒否するなどしたため親権停止が認められ、子供が転校手続きをしたケースがあった。

 親から暴力を受け一時保護された子供が帰宅を嫌がり、児相が親族宅への引き取りを検討。親が反対したため、親権停止の保全処分が決まり、親族が親権代行者になったこともあった。

 制度の運用面で改善を求める声もある。関東のある児童相談所の担当者は「虐待を防ぐため迅速な対応が求められる一方、親権停止後の親子関係 の修復は簡単とはいえず、申し立てには二の足を踏んでしまう。判断の参考として、専門家の意見を聞ける体制づくりも必要ではないか」という。

 NPO法人児童虐待防止協会(大阪市)の津崎哲郎理事長は「制度が始まったばかりで児相は慎重に対応している。家裁の判断が積み重なれば、 さらに申し立ても増える」と指摘。「虐待をしたとの認識がない親も多い。親権停止の期間中に親の姿勢をどう改善するかが大きな課題だ」と話す。

11年前