答弁書
答弁書第七四号
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/183/touh/t183074.htm
内閣参質一八三第七四号
平成二十五年四月十六日
参議院議長 平 田 健 二 殿
参議院議員浜田和幸君提出ハーグ条約及び親権の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員浜田和幸君提出ハーグ条約及び親権の在り方に関する質問に対する答弁書
一について
親権者の指定に関する事件並びに父又は母と子との面会及びその他の交流(以下「面会交流」という。)に関する事件について、家庭裁判所は、事件の性質に応じ、様々な事情を総合的に考慮した上で、事案ごとに適切に判断しているものと承知している。
一方、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(以下「ハーグ条約」という。)においては、子の親権又は監護権に関する事項及び面会交流の在り方については各締約国の法制に委ねており、各国に共通する基準はないものと承知している。
二について
現行法下においても、親権を有しない親と子との面会交流が正当な理由なく実現しない場合には、親権を有しない親は、親権を有する親に対して、面会交流を 許容することを求めて、家庭裁判所に家事調停又は家事審判の申立てをすることができることとされており、家事調停において面会交流に関する合意が成立し、 又は面会交流を許容することを命ずる旨の家事審判がされたにもかかわらず、その履行がされない場合には、家庭裁判所による履行の勧告の申出をし、又は間接 強制を申し立てることができることとされている。
なお、面会交流は、子の利益の観点からは、両親の協力の下で任意に実現されることが望ましいことから、政府としても、離婚後の面会交流の意義及びその重要性については、引き続きその周知を図ってまいりたい。
三について
一についてで述べたとおり、ハーグ条約は、子の親権又は監護権に関する事項については各締約国の法制に委ねており、ハーグ条約の締結と我が国における離婚後の親権に関する制度の在り方とは、直接の関係はないところである。
また、離婚後の親権についていわゆる共同親権制度を導入することについては、国民の間で賛否の意見が分かれている上、離婚に至った夫婦の間では、子の養 育監護に必要な合意が得られないなど子の利益の観点から望ましくない事態が生ずるおそれがあることから、慎重に検討する必要があると考えている。