ハーグ条約 年度内加盟へ
http://www.komei.or.jp/news/detail/20130523_11247
公明新聞:2013年5月23日付
子の無断連れ去り「不法」
国際結婚が破綻した場合のルール
国会で承認
国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの扱いを定めたハーグ条約は22日午前、参院本会議で全会一致で承認された。衆院でも承認されている。
条約に加盟した場合の国内手続きを定めた実施法案も今国会で成立する見通しとなっており、政府として必要な政省令の制定などを経て、年度内の条約加盟をめざす。
ハーグ条約は、国際結婚した夫婦のどちらか一方が16歳未満の子どもを無断で国外に連れ去った場合、原則としていったん、子を元の国に返すと規定。親権は元の国で争うことになる。
返還を求める親に虐待や家庭内暴力(DV)の恐れがあるときは、返還を拒むことができる。返還の可否は、東京か大阪の家庭裁判所が審理する。
返還を求める親の窓口として、外務省に「中央当局」を設置。子の居場所を特定したり、任意による返還を働き掛けたりする。
ハーグ条約加盟国は2013年2月現在89カ国で、主要8カ国(G8)で加盟していないのは日本だけとなっている。
国際結婚の破綻で日本人の親が子どもを連れ帰るケースが増えており、米国などが早期加盟を求めていた。
ハーグ条約に関して国際離婚の当事者からは、海外から子どもを連れ戻しやすくなることから期待の声が上がる一方で、日本に連れ帰った子どもを返還せざるを得なくなる場合もあり、不安視する意見も少なくない。
一般に、日本への子どもの連れ帰りは大半が女性で、配偶者などからの暴力などから逃れたケースが多いといわれている。しかし、中には元夫から親権訴訟を起こされ、現地では誘拐容疑で逮捕状が出ているケースもあることから、条約の実施に対して慎重な対応を求める声も根強い。
子の「最善の利益」守る
党共同親権制度導入検討プロジェクトチーム 大口善徳座長(衆院議員)
ハー グ条約の実施に当たっては、それが子どもの最善の利益につながるのか、という視点が重要だ。日本では、外国人親の児童虐待やDVから子どもや自分を守るた めに母子が帰国する事例が多い。今後は、中央当局を置く外務省や在外公館の支援体制の整備に万全を期していくべきだ。
在外公館では、DV や虐待を受けた邦人の相談に適切に対応し、相談内容を記録しておくことが重要になる。現地の支援団体と連携して、在外邦人を支える体制を築いておく必要も ある。DV被害などのために緊急帰国しなければならない邦人には、加害者の意思にかかわらずパスポートを発給するといった支援も行うべきだ。政府には、子 どもの人権を守るために、最大限の努力を求めたい。