- 2013/05/23 5:55 pm
日本の国会、ハーグ条約への加盟に道筋
日本の国会が22日、10年以上米国からせっつかれてきたハーグ条約の加盟案をようやく承認し、政府による批准への道筋がついた。これによって日本人の妻に子どもを奪われた米国人の父親に希望の光が見えてきた。
- Associated Press
「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」とは、「居住地」から不法に親によって連れ去られた16歳以下の子どもの保護を目的としており、1980年に採択され、日本は米国などからその批准を強く求められてきた。
親権や養育権に関する争いを経ずに、親によって別の国に連れ去られる子どもを守るハーグ条約。89カ国が批准しており、日本は、主要8カ国の中で加盟していない唯一の国だ。しかし、これでやっと日本も来年3月までに条約に加盟する見通しが立った。
日本の国会議員は、離婚した場合、一方の親が親権や養育権を握る制度なため、この条約が相いれないとして加盟に反対してきた。米国や大多数の欧州の国と異なり、日本の家族法は離婚後の共同親権を認めない。そして、親権を得るのはほとんど母親だ。
日本でも国際結婚は増えている。35年前と比べると5倍だ。だが、結婚全体の4%にすぎず、離婚率は平均より高い。2011年には3万人の日本人が 国際結婚し、1万9000人が離婚した。2011年の統計によると、日本人女性の国際結婚の相手のトップは多くの場合日本に永住権を持つ韓国人だが、次は 米国人だ。そのため、日本においてハーグ条約違反の典型的な例は、離婚した日本人妻が子どもを連れて日本に帰ってしまったり、日本を訪問した子どもを米国 に帰さずに、米国人夫から姿をくらましてしまったりするケースだ。
その結果、米連邦捜査局(FBI)がまとめた親による誘拐の事例のリストに日本人妻の名が並んでいる。米国務省によると、2011年末時点で親に よって米国から日本に連れて来られた未解決の事件が100件、人数にして140人だった。22日付の朝日新聞によると、英国、カナダ、フランスも各30件 以上の日本人親による誘拐事件を抱えている。
日本国内では、ハーグ条約への関心が薄く、これまで日本国民にとって得るところのない同条約への加盟を後押しする声は少なく、国会も審議を拒否してきた。
しかし、前政権で損なわれた日米関係の修復を目指した安倍晋三首相が2月の訪米で、オバマ大統領にハーグ条約への加盟を約束した。
記者:Toko Sekiguchi
原文(英語):Japan’s Parliament Approves Hague Treaty Ratification
http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2013/05/23/japans-parliament-approves-hague-treaty-ratification/