日経:参院がハーグ条約承認、年度内にも加盟へ 国際結婚破綻、子供引き渡しにルール

参院がハーグ条約承認、年度内にも加盟へ
国際結婚破綻、子供引き渡しにルール

2013/5/22 11:08
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2200Y_S3A520C1CR0000/  

国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めたハーグ条約への加盟が22日午前の参院本会議で全会一致で可決、国会で承認された。加盟する際の国内手続きを定めた実施法案も今国会で成立する見通し。今年度内にも正式に加盟する。

 ハーグ条約の正式名称は「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」。離婚した夫婦の一方が無断で16歳未満の子供を国外に連れ去り、もう一 方が返還を求めた場合、原則として子供を元の国に返したうえでどちらが育てるかを決める。親権に関する手続きは子供がそれまで居住していた国でとるのが望 ましいとの考えに基づく。

 子供の返還申請があった場合、当事国の当局(日本は外務省)が子供の所在を確認し、当事者の話し合いによる解決を目指す。決着しなければ、子供が連れ去られた先の国の裁判所の判断を仰ぐ。裁判所が子供に危害が及ぶ恐れがあるとの結論を出せば、返還命令を見送る。

 ハーグ条約は、国際結婚の増加に伴い、両親が国境を越えて子を奪い合う状況を防ぐべきだとの声が高まったことから1980年につくられた。米国や欧州連合(EU)各国など89カ国が加盟しており、主要8カ国(G8)では日本だけが入っていない。

 日本が加盟に慎重だったのは、日本人女性が外国人男性と結婚する場合が多いことが背景にある。国際結婚が破綻して日本人女性が海外から子供を連れて帰るケースが多いため、条約加盟で子供をいったん元の国に返す必要が出てくることを懸念する声が多かった。

 日本人の国際結婚は70年の年約5千件から、2000年代には年3万~4万件に増加。欧米から日本に子供を連れ帰った母親が「誘拐犯」とし て刑事訴追される深刻なトラブルが発生しており、米国などからは早期加盟を求められていた。安倍晋三首相は2月の日米首脳会談で今国会での承認を目指す方 針をオバマ大統領に伝えていた。

 日本の場合、海外で配偶者やパートナーによる暴力(DV)を受けた女性が子供を連れて帰国したケースも多い。DVは元配偶者から子供の引き 渡しを拒む理由となるが、元の居住国で証拠を集め立証するのは難しいとの指摘がある。外務省は海外の日本大使館でDV関連の相談に応じる態勢を整えるなど の対策に乗り出している。

12年前