ヤフー:国際結婚破綻後の子どもの扱いが問題に、加盟が議論されているハーグ条約とは

国際結婚破綻後の子どもの扱いが問題に、加盟が議論されているハーグ条約とは

THE PAGE 5月20日(月)12時59分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130520-00010002-wordleaf-soci

国際結婚破綻後の子どもの扱いが問題に、加盟が議論されているハーグ条約とは

ハーグ条約締約国(2013年2月現在)

国際結婚の増加で、結婚破綻後の子どもの扱いが問題になるケースが増えています。米国などからも国際的な協力のしくみであるハーグ条約への早期加盟を求められてきており、同条約の加盟承認案とそのための国内手続きの法案が今国会で審議され、成立する見通しとなりました。

ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)は、国際結婚が破たんした夫婦の子どもについて、原則として元の国に戻すよう定めた国際ルールです。

2013年2月現在で欧米を中心に89カ国がハーグ条約に加盟しています。G8、いわゆる主要8カ国の中で加盟していないのは日本だけです。国際結婚が 破綻した日本人が国外から子どもを(元)配偶者に無断で日本に連れ帰る事例に対し、日本政府は外国政府からその解決を求められています。

国際結婚破綻後の子どもの扱いが問題に、加盟が議論されているハーグ条約とは

ハーグ条約下でのやりとりイメージ(出典:外務省)

逆に、日本から国外に子が連れ去られるケースも発生しており、この場合は条約加盟国でない日本の中央当局(日本では外務省)は子の返還要求を支援することができません。こうした事例では、ハーグ条約加盟で解決できる可能性が高まりそうです。

加盟した場合の問題点も指摘されています。

たとえば夫との結婚生活が破綻した日本人妻が、夫の同意を得ずに日本に子を連れ帰った場合、国によっては刑法上の誘拐罪にあたる可能性があります。その 場合、妻の入国は難しくなりますから、ハーグ条約のルールによって、子を母親から半永久的に引き離すことになることがあるわけです。また、元の国へ戻すこ とで虐待やDVの恐れがあるケースでも、返還となってしまう可能性があります。

ハーグ条約は子は元の国へ戻すのを原則としつつ、戻すことで危険がある、子自身が返還を拒否といった理由がある場合は、例外として現所在国の裁判所の判断で返還拒否ができることになっています。

しかし、弁護士の伊藤和子氏は「日本でも、結局は裁判官の広範な裁量に委ねられ、原則返還というハーグ条約や各国の実務、国際的なプレッシャーを受け て、不当な返還命令が出されることが危惧される」と指摘しています(Yahoo!ニュース個人の記事「『国際的な子の奪取に関するハーグ条約』批准がはら む問題点」)。

11年前