国際結婚したカップルの破局で子どもを奪い合う問題が生じた場合のルールを定める「ハーグ条約」への加盟に向け、日本は1歩踏み出した。同条約加盟に承認する案件が23日午後、衆院本会議で全会一致で可決された。
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- 国際結婚は破局の割合が上昇
ハーグ条約の加盟国は、欧米が多くアジアやアフリカは少ないといった特徴がある。アジアでは韓国と香港特別区にとどまっている。日本人男性の国際結 婚の相手はアジア系が多いことから、今後アジア諸国の加盟も待たれる。離婚相手の国が非加盟国の場合、適用が制限されるためだ。
ハーグ条約は、16歳未満の子どもが国外に連れ去られた場合、元の居住国にいる親が返還を求めれば原則として応じることとしている。加盟後は、一方の親が他方の親の同意を得ずに子どもを連れ去る行為は実の親であっても誘拐罪に問われる可能性がある。
厚生労働省によると、夫婦の一方が外国人の国際結婚の件数は減少傾向で、2011年は前年比14%減の2万5934組。日本人の結婚件数全体の4%に低下している。日本国籍やビザの取得を巡る「偽装結婚」の取り締まり強化などが背景にある。
一方、国際結婚したカップルの離婚は、11年度に1万7832組にのぼった。国際結婚の減少に伴い離婚件数も減少傾向だが、国際結婚の破局は日本人 の総離婚件数の7%台に上昇している。国際結婚のうち、夫が日本人・妻が外国人は1万9022件。このうち87%が中国、韓国・朝鮮、フィリピン、タイな どアジア系だ。妻が日本人・夫が外国人のカップルは6912件で、アジア系は41%と逆のケースに比べ少ない。
日本の民法では、離婚した場合、子どもの親権は父親か母親かどちらか一方を親権者と認めることが定められ、母親が親権者となり、養育するケースが多い。
ハーグ条約加盟の法案は今後参院で審議され、5月下旬にも条約が承認される見通しだ。