堀尾の保健学ブログ:CRCのブログ

http://blogs.yahoo.co.jp/horio_blog/53772216.html

CRCのブログにハーグ条約についての感想が書いてありました。(H25.3.7の記事)
内容は、「日本がハーグ条約を締結しても、過去に連れ去られたケースには、遡及しないので、子どもに会えない状況は変わらないだろう」ということです。同感です。

また、CRCのブログに、米国の論文へのリンクがありました。(H25.3.7の記事
この論文を読んでみました。
著者は、ロースクール卒後1年の駆け出し弁護士のようです。アリーと同じです。これは、アメリカ弁護士会の2012年の論文コンテストで3位になった論文です。
「ハーグ条約の受け入れ方について、日本とモロッコの比較」という題です。
著者は、日本の現状について、詳しく正確に把握しておられます。そうして、日本とモロッコを比較した後に、日本についての提言を書いておられます。モロッコは2010年にハーグ条約に加盟しています。
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(1)片方の親に親権を与えるなら、他方の親に監護権を与えるべきだ。
モロッコも、基本的には単独親権であるが、片親が親権を得る場合は、他の親が監護権を得る。そうして、離婚後も両方の親が子どもに関与して子どもを育てる 制度にしている。日本でも共同親権、共同監護権が望ましいが、それが困難なら当面は、親権と監護権を別々の親に与える努力をすべきだ。
(2)日本の裁判所、議会は、面会交流を、基本的な権利として確立すべきだ。
モロッコは、ハーグ条約に加盟するために、面会交流権を確立した。ただし、それ以前でも、モロッコの母親は、父親から離れる自由な移動を禁じられていた。父親が子どもと交流し続けることを可能にするためである。日本では、面会交流の権利は、非常に限定されている。
(3)日本は戸籍制度を改革すべきだ。少なくとも修正すべきだ。
日本では、母親が離婚後に自分の名前を変えるときに、父親の戸籍から子どもの名前が抜かれてしまうのである。戸籍制度を変更して、親の婚姻状況には関係な く、子どもは両方の親の戸籍に記載されるようにすべきである。この1ステップは、「親の共同の責任」へ近づくための心理的な1ステップになるであろう。
(4)連れ去られた子どもを強制的に捜査する仕組みや、子どもを安全に強制的に返還する仕組みを作るべきだ。
幸いにして、日本では刑法226条が既に機能している。日本政府は刑法226条を適用して、連れ去られた子どもを確実に強制的に元の国へ返還すべきである。

(5)日本は、家庭紛争について、欧米諸国と協力して解決していくよう合意をすべきだ。
欧米諸国はこれまで、日本に対して、連れ去りを防ぐ努力をするように再三呼びかけている。モロッコは、ハーグ条約加盟に際して、周辺国と、家庭紛争を協力して解決するよう、相互合意を行った。日本は、家庭紛争の解決のため、グローバルな協力を行うべきである。

12年前