http://www.komei.or.jp/news/detail/20130223_10412
子の奪い合いに関する国際ルール
共同親権制度導入検討PT 大口善徳座長(衆院議員)に聞く
子どもの利益を守る
虐待・DV、 返還拒否も 国内実施法案で明記
―ハーグ条約とは。
大口善徳座長 国際結婚が破綻した夫婦のうち、一方が無断で監護権を侵害し、16歳未満の子を国外に連れ出すなどした時に、残された親が返還を求める場合の手続きを定めた国際協力の仕組みです。
返還を求められた加盟国は原則、子の所在を調べ、元の居住国に子を返還する義務を負います。一方、返還を拒否できる規定も設け、子どもの利益を守ることを目的とした条約です。
―世界の加盟状況は。
大 口 この条約は1983年に発効し、89カ国が加盟。主要8カ国(G8)では日本だけが未加盟です。近年、日本人の国際結婚が増加し、離婚も増える中、日 本人による子の連れ去りや、外国人による日本からの子の連れ去りが問題となり、日本の加盟を求める声が強まっています。
―なぜ日本は加盟していないのか。
大口 外国人の配偶者による家庭内暴力(DV)の被害者に配慮する必要があることが挙げられます。条約では「子の心身に重大な危険がある時」は返還を拒否できることになっていますが、DV被害者が子を連れて日本に戻った場合、この規定が適用されるのか懸念されてきました。
―公明党のこれまでの対応は。
大 口 わが党は2010年11月に検討PTを設置し、加盟の是非と国内実施法案の検討を重ねてきました。その中でDV被害者への対応などの問題点を指摘。今 回の個々の法案で、返還拒否事由に子の利益やDV被害者に配慮する「考慮要素」が盛り込まれ、DV被害者に対する政府の支援体制の確保・強化をすることに なりました。
―実施法案の主な内容や政府の取り組みは。
大口 法案では、子の返還や親子の面会交流の機会の確保に関して援助を行う中央当局を外務省とし、子の返還に必要な裁判手続きなどを定めています。
また、DVや児童虐待の当事者に対し、在外公館が相談体制を整え、弁護士や福祉専門家などの紹介、被害の相談内容を記録し外務省を通じて裁判所に提供するなどの支援を強化し、適切な判断ができるようにしていきます。DV被害者の居場所の情報不開示も徹底しました。
経済的に余裕がない人には、法テラス(日本司法支援センター)を活用し、弁護士費用などを立て替え、翻訳費用については上限の引き上げを検討しています。
さらに、子の返還手続きを管轄する裁判所が東京と大阪の家庭裁判所になるため、テレビ会議の活用などで地方に住む当事者の負担軽減を図ります。
周知徹底、法施行後の検証が必要
―今国会での対応は。
大 口 条約の加盟にあたり、国内実施法案の内容などについて、国内のみならず、在外公館を通じた在留邦人への十分な周知徹底を求めていきます。また、条約が 発効し、国内実施法が施行された後、政府が連れ去り事案の実態を調査・検証し、その結果を国会に報告・公表するよう求め、委員会の法案審議の答弁や付帯決 議で担保します。
公明党は、今国会での成立を求めていくとともに、国際的なルールのもとで不法な連れ去りを防ぎ、子どもの幸せを守るために全力を挙げていきます。