ハーグ条約法案 「沖縄でも裁判を」2013年2月16日
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国際結婚が破綻した夫婦間の子どもの奪い合いが起きた際のルールを定めたハーグ条 約について、国は早期加盟に向けて動きだした。3月中旬に国会に法案提出、5月にも衆参両院本会議で採決される見通しだ。米軍人との国際結婚が他県よりも 多い沖縄は、離婚に伴うトラブルも少なくない。県内の関係者は「法案は管轄する家庭裁判所が東京と大阪に限られている。沖縄も含めるべきで、地方に住む人 が不利益にならないような仕組みが必要」と要望している。
米軍人や軍属との国際結婚や恋愛のトラブルについて相談事業をしている「ウーマンズプライド」によると、別れた夫が県内に住む女性を訪ねて来て、子どもを軍用機に乗せて本国に連れ去った、という相談も過去にあったという。
代表のスミス美咲さんは「基地があるが故に、他県に比べてトラブルが発生する割合が高くなる。ハーグ条約を批准するならば、最低限の配慮を沖縄にしてほしい」と話す。
沖縄弁護士会は、県選出国会議員や担当議員らに対し「返還を求める手続きを行う裁判所を、那覇家庭裁判所にも認めてほしい」と昨年夏以来、要請してい る。同会の加藤裕会長は「法案の修正を今後も引き続き求めていく。実際の裁判で裁判官が地方に出張するなど、地方に住んでいる人が不利にならないよう運用 改善を求めていきたい」と話している。
また、条約に詳しい沖縄国際大学の熊谷久世(ひさひろ)教授は「この条約は国境を越える子の監護に適用されるもので、国際結婚に限らず日本人夫婦間でも起こり得る問題」と指摘し、国民的議論を期待している。
熊谷教授らと共に一昨年10月、法務省に意見書を提出した鎌田晋弁護士は「DV(夫婦間の暴力)事案がどう裁判所で判断されるか、注視する必要がある。今後の法案審議を見守りたい」と語った。
(知花亜美)
<用語>ハーグ条約
国際結婚が破綻した後、一方の親が無断で子どもを国外へ連れ出し、もう一方の親が会えなくなる事態に対処するための条約。16歳未満が対象。返還を求め られた加盟国は子どもの所在を調べ、原則として元に住んでいた国に戻す義務を負う。子ども自身が戻るのを拒否している場合などの例外規定もある。1983 年発効で、欧米を中心に89カ国が加盟する。主要国(G8)首脳会議メンバーでは日本だけが未加盟。