離婚・遺産相続弁護士の日々雑感:面会交流拒否の原因―「子供が会いたくないと言っている」は、本当か?

面会交流拒否の原因―「子供が会いたくないと言っている」は、本当か?

 作成日時 : 2012/11/09 09:55

http://mori-law-office-blog.at.webry.info/201211/article_1.html

現在、離婚で一番揉める問題の一つが面会交流だろう。10年前は予想も出来なかったことだ。
非監護親が子供に会いたいというのに対し、監護親が子供を会わせない。調停で約束していても会わせない、審判で面会交流を命ぜられても会わせない、こういう例は非常に多い。
そのとき、たいていの監護親は、「子供が会いたがっていない」と言う子供の意思を面会交流拒否の理由としてあげる。「子供は会いたがっているけど、私は会わせたくないのよ」と堂々と言い放った例は、ほとんどない。
しかし、非監護親からすると、監護親の、この発言はにわかに信じられない。「自分が同居していたころは、子供とはうまくいっていた、子供が会いたがらない はずがない。監護親は、嘘をついている」と、ほとんどの非監護親は考える。「監護親がそういうんだからそうなんだろう」などと素直に納得する非監護親は、 希有である。
かくて「監護親は嘘つきだ」vs「非監護親は、子供の気持ちを理解していない」と非難の応酬が始まり、新たな紛争が勃発するのである。

自分が代理人になった感想を述べると、監護親側から依頼をうけた場合、確かに執拗に面会交流を要求する非監護親は、「子供に会いたい」と言うよりも、「子 供をダシにして、嫌がらせをしている」としか見えない。逆に非監護親側から依頼を受けると、「監護親は、子供と非監護親を切り離しにかかっている」としか 見えない。
依頼を受けた代理人でさえ、こういう見方になるのであるから、当事者は、よりいっそう、確信することだろう。

自分の経験から言わせると、本当に子供が会いたがってない例は、実はかなりある。監護親から「子供に会えというんだけど、子供がどうしても会いたがらない。どうしたら良いのだろう?」という相談は、数知れないほど受けてきた。

しかし、同時に、子供は会いたがっているのに、監護親が、子供の気持ちが非監護親に流れるのを恐れて面会交流を拒否する例もある。あるいは、別れた配偶者に対する懲らしめのために会わせない親もいる。

非監護親が面会を求める場合、自分の経験から言わせると、大部分が、やはり子供に対する愛情から面会を求めている。確かに、子供に対する愛情が全くない親 もいるが、そういう親は、嫌がらせをするとしても、子供との面会交流をダシにして嫌がらせをすることはない。別の方法―例えば養育費を支払わない等の方法 で嫌がらせをする。
しかし、真に子供と面会を求めていても、同時に、戦闘モードの非監護親がいて、そういう非監護親は、面会交流を戦いの一場面と捉えてしまう。主たる思考 が、無意識のうちに、にっくき監護親に嫌な思いをさせることに向いている。そのため、子供の心を傷つけないという点に、あまり気持ちがいかない。こういう ケースでは、面会交流が子供を傷つけてしまうことになる。

なお、一般論として言えば、子供が中学生くらいになると、「子供が会いたがっていない」というのは、往々にして真実の場合が多い。これは、子供が、監護親 に感情移入し、監護親の立場に立って、判断してしまうからである。で、仮に監護親が強硬に面会を実現しても、ほとんどうまくいかない。

逆に幼児の場合、子供が会いたがっていないというのは、疑問符がつく。このころの子供は、監護親が何を求めているのか、子供なりにくみ取り、監護親の気持 ちに逆らわないようにするからである。こういう場合、子供と面会すると、子供は素直に喜ぶことが多い。ただ、監護親が同席すると、監護親の態度次第では、 うまくいかない場合もある。また、非常に人見知りする子供のときは、試行面接でさえ失敗することもある。

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