首相「ハーグ条約」加盟表明へ 日米同盟の再強化印象づける狙い 首脳会談
役員会に臨む安倍晋三首相=15日午前、東京・永田町の自民党本部(酒巻俊介撮影)
安倍晋三首相は15日、2月以降に予定されるオバマ大統領との日米首脳会談で、国際結婚が破綻した夫婦間の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」加盟 を表明する方針を固めた。米側が求めている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加表明は見送るため、懸案だったハーグ条約加盟を確約。集団的 自衛権の行使容認に関する検討と並ぶ対米公約の2本柱と位置づける。
オバマ大統領は野田佳彦前政権時代にもハーグ条約加盟を要求してきた。野田内閣も同条約加盟を対米公約に掲げ、平成24年3月に条約加盟に向けた関連法案と条約承認案を閣議決定し国会に提出したが、審議未了で廃案となっている。
政府筋は「ハーグ条約加盟を期待する大統領の姿勢は変わっていない」と指摘する。このため、政府は今月28日に召集される次期通常国会で関連法案などを再提出する。
安倍首相は首脳会談で条約加盟の実現に向けた決意を伝え、早期に関連法案を成立させたい考え。それにより対米公約をほごにした野田前首相との違いを際立たせ、日米同盟の再強化を印象づける狙いがある。
首相は集団的自衛権行使を容認する憲法解釈の見直しについてもオバマ大統領に取り組みを伝達する。月内にも第1次安倍内閣で設けた有識者懇談会の報告をもとにした検討作業に入るが、訪米前に行使容認に向けた具体的な結論は得られない。
しかも米側は集団的自衛権の行使容認を既定路線ととらえている。中国の海洋進出を警戒するアジア・太平洋地域に安心感を与える政治的メッセージとしても重 視しているが、安倍首相就任後初の日米首脳会談では、米側の期待が大きいハーグ条約加盟を表明することも不可欠と判断した。
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