親権制限について厚労省も検討

法務省での検討が進んできた親権法の「親権制限」についての改正について、厚生労働省でも検討が進むことが報道で伝えられている。
児童虐待防止のために、親権を制限する規定ができることについては時代の流れだろうけれど、他方、単独親権制度のもと、親権のない親の法的な位置づけが不明確であり、別居親団体としては、今後の議論の行方を注視していきたい。
児童相談所の組織としての拡充は追いついておらず、他方、親権を制限する場合、制約された親の側の権利保障のための制度設計も視野に入れる必要はないだろうか。親権争いに児童虐待がからむケースは珍しくないので、私たちとしても今後勉強しつつ議論を整理していく必要がある。

以下、東京新聞より

厚労省、親権見直しで専門委設置 児童虐待防止法など改正へ
2010年2月17日 20時05分

虐待から子供を守る目的で、親権の一時制限など民法改正案の検討が法制審議会で始まったことを受け、厚生労働省の社会保障審議会児童部会は17日、関連する児童福祉法と児童虐待防止法の改正に向けた専門委員会を設置した。3月下旬にも初会合を開く。

改正法案提出は法務省、厚労省ともに2011年の見通し。法制審と専門委が両輪となって法改正作業を進め、虐待の効果的な防止に向けた新たな体制整備を急ぐ。

設置されたのは「児童虐待防止のための親権の在り方に関する専門委員会」。外部有識者で構成し、法務省と最高裁の担当者も事務局に加える。厚労省が所管する児童福祉法などの改正について、11年2月までに児童部会に報告書を提出する。

具体的には、児童養護施設の入所児童を、虐待していた親が無理に連れ戻そうとする場合などに備え、施設長の権限を親権より優先させる制度などを検討していく。

現行の民法には、問題のある父母から親権を奪う「親権喪失制度」があるが、無期限に親権全部が失われるため、影響が大きく運用の難しさが指摘されていた。

(共同)

児童虐待 被害最多347人 児童ポルノ摘発38%増 09年警察庁まとめ
2010年2月18日 夕刊

昨年一年間に全国で摘発された児童虐待や児童ポルノ事件が、記録の残る過去十年間で最多だったことが警察庁のまとめで分かった。十八日の国家公安委員会で報告された。

◆児童虐待

虐待事件は三百三十五件で、十八歳未満の被害児童は前年より二十八人多い三百四十七人に上った。ともに統計が残る一九九九年以降で最多。被害児童のうち死者は十七人減って二十八人だった。

摘発されたのは、三百五十六人で同じく過去最多。被害児童との関係では、実父が最も多く百十八人、実母が九十八人、養父・継父が六十七人だった。

◆児童ポルノ

十八歳未満のポルノ画像を製造、提供したなどとして摘発されたのは前年比38%増の九百三十五件。身元が特定できた被害児童も七十三人増えて四百十一人で、ともに統計が残る二〇〇〇年以降、最多。被害児童のうち、小学生以下は前年比67%増えて六十五人、全体の16%に上った。

インターネットを使ったのは五百七件と前年のほぼ倍。児童買春・ポルノ禁止法は画像の単純所持を禁じておらず、国際的な批判を受けている。

◆サイト犯罪

男女の交際を目的とした「出会い系」でなく、会員制交流サイト(SNS)やゲームサイトを利用し、児童買春やわいせつの被害に遭った児童は、昨年一年間に千百三十六人で、前年よりも三百四十四人増えた。

被害児童を罪種別にみると、わいせつなどの青少年保護育成条例違反が七百二十七人、児童買春が二百三十四人、児童ポルノ百一人。殺人未遂が一人、強姦(ごうかん)は十四人だった。

一方、出会い系サイトを介した被害児童は四百五十三人で前年より37%減少。警察庁は出会い系サイト規制法の強化で「非出会い系サイト」が悪用されている可能性があるとして、サイト事業者に年齢認証など被害防止への取り組みを推進するよう要請している。

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