在モントリオール日本国総領事館:子供の親権をめぐる問題について

子供の親権をめぐる問題について

http://www.montreal.ca.emb-japan.go.jp/jp/visa/child.htm

近年、国際結婚のカップルが増えてきています。そうした流れは、日本とカナダの間でも同様で、当館領事窓口にも国際結婚の届出、日加間のカップルの間に誕生した子供の出生届のため来訪される方がたくさんいらっしゃいます。

しかしながら、その一方で、結婚生活で困難に直面したそれぞれ国籍の異なる父または母のいずれかが、居住地の法律を省みることなく子供を連れ去り、問題に なるケースも発生しています。結婚生活が困難となり、離婚に直面する事態となったとき、子供をどうするのか、特に将来にわたって子供の養育と監護をどちら が行うのか、といった問題は常に発生してきます。

今回は、特にカナダに居住される日本人の親御さんにとって、子供との関係、子供を連れての移動についてぜひ留意していただきたい点を述べたいと思います。


1.実子誘拐罪の適用

カナダやアメリカの国内法では、父母のいずれもが親権または監護権を有する場合に、または、離婚後も子供の親権を共同で保有する場合、一方の親が他方の親の同意を得ずに子供を連れ去る行為は、重大な犯罪(実子誘拐罪)とされています(注)。

例えば、カナダに住んでいる日本人の親が、他方の親の同意を得ないで子供を日本に一方的に連れて帰ると、たとえ実の親であってもカナダの刑法に違反するこ ととなり、これらの国に再渡航した際に犯罪被疑者として逮捕される場合がありますし、実際に、逮捕されるケースが発生しています。

国際結婚した後に生まれた子供を日本に連れて帰る際には、こうした事情にも注意する必要があります。

(注)

  • カナダ:14歳未満の子の連れ去りの場合、10年以下の禁錮刑等を規定(刑法第282、第283条)。
  • 米国:16歳未満の子の連れ去りの場合、罰金若しくは3年以下の禁錮刑又はその併科を規定(連邦法Title 18, Chapter 55, Section 1204)。州法により別途規定がある場合もある。

2.未成年の子供の旅券申請

未成年の子供に対する日本国旅券の発給申請については、親権者である両親いずれか一方の申請書裏面の「法定代理人署名」欄への署名により手続きを行っています。

ただし、旅券申請に際し、もう一方の親から子供の旅券申請に同意しない旨の意思表示があらかじめ在外公館に対してなされているときは、在外公館は当該申請 が両親の合意による旅券申請であることを確認しております。この場合、在外公館では、通常、子供の旅券申請について不同意の意思表示を行った側の親が作成 (自署)した「旅券申請同意書」(形式自由)の提出をお願いしています。

また、カナダにおいては、父母の双方が親権を有する場合に、一方の親権者が、14歳未満の子を他方の親権者の同意を得ずに国外に連れ出すことは刑罰の対象 となる可能性があります。実際に、居住していた国への再入国に際し、子を誘拐した犯罪被疑者として逮捕されたり、ICPO(国際刑事警察機構)を通じて国 際手配される事案も生じており、当館では、在留邦人の皆様がこのような不利益を被ることを予防する観点から、14歳未満の子の旅券申請の際には、他方の親 権者の不同意の意思表示がない場合であっても、旅券申請に関する両親権者の同意の有無を口頭にて確認させて頂いておりますので、あらかじめご承知くださ い。


3.ハーグ条約の締結をめぐる問題

国境を越えた不法な子供の連れ去りを防ぐことなどを目的として、1980年、「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」(ハーグ条約)が採択されました。2009年8月現在、締約国は81ヶ国であり、日本は、締結の可能性について検討を始めたところです。

この条約の締約国は、不法に子供を連れ去られた監護権者からの申立てを受けて、条約上の例外事由がない限り、子供が元々居住していた国に迅速に返還される ように努めるなどの義務を負います。子供の返還後は、親権を巡る父母間の争い等は、子供が元々居住していた国の裁判所において決着することになります。

以上のように、この条約は、不法に連れ去られた子供の返還について定めるものですから、子供の居住していた国の法律、手続に従って日本に連れてきた子供が、その国に送還されることはありません。


4.家庭問題に関する相談はお早めに関係団体・機関へ

日本人の親の中には、外国人の相手の方とのコミュニケーション・ギャップや価値観の違いによるストレス、虐待など深刻な事態に直面した場 合の戸惑い、外国における孤独感などから、ついつい日本に子供を連れて帰ってしまおうと思われる方も多々いらっしゃるかと思います。しかしながら、そのよ うな行動には上記で述べました多くのリスクが伴います。

当地には、家庭の問題、虐待に対する人権の面からの対応を行っている団体及び機関があります。

また、あなたのお子さんは、相手の方のお子さんでもあります。問題の兆候が見え始めたら、「各州の法律扶助機関 QC / NB / NS / PEI / NL」及び「お役立ちリンク集」も参考にして速やかに各種団体・機関にご相談されることをお勧めいたします。

海外で生活されますと、個人生活も含め幾多の困難に直面されることも多々あるかと思います。しかし、思いがけず法律に違反し犯罪者となってしまいますと、 その後の子供との関係にも縷々支障が出てきます。円満な家庭、円満な親子関係のために、上記の点を真剣に考慮していただけますようお願いいたします。

7年前