外務省:野田総理大臣 日米首脳会談(概要)

野田総理大臣
日米首脳会談(概要)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_noda/usa_120429/pmm.html

平成24年5月1日

(写真)アメリカ合衆国のオバマ大統領と握手する野田総理
(写真提供:内閣広報室)

 4月30日正午過ぎ(現地時間)から約2時間,訪米中の野田総理大臣は,オバマ大統領との間で日米首脳会談及び日米首脳昼食会を行ったところ,概要以下の通り(先方:クリントン国務長官,パネッタ国防長官,ガイトナー財務長官,カーク通商代表,スパーリング国家経済会議委員長,ルース駐日大使,ドニロン大統領補佐官ほか,当方:齋藤官房副長官,長島総理補佐官,藤崎駐米大使ほか同席)。

日米関係総論
(1)共通ビジョン
 野田総理から,自分(総理)は日米同盟が日本外交の基軸との信念を有しており,それが故に本日「日米共同声明:未来に向けた共通のビジョン」を発表できることは大変喜ばしい,この文書には日米両国が果たす役割と責任への決意が明確に記されており,自身(野田総理)の考えもよく反映されている旨述べ,両首脳は,このビジョンを共有し,日米同盟を更に深化・発展させていくことで一致した。

(2)アジア太平洋地域における協力
 野田総理から,両国はEAS,APECといった枠組みも活用し,地域の秩序とルールづくりに主体的な役割を果たすことが重要であり,中国とも協力していくことが重要である旨述べた。また,野田総理から,最近の日中関係につき説明すると共に,日米中の戦略対話を実現させたい旨述べた。
 これに対し,オバマ大統領からは,米中関係につき説明があり,両首脳は中国が国際社会で積極的な役割を果たすことを期待することで一致した。

(3)日米安保
 野田総理から,先般の「2+2」合意は同盟深化に向けた重要な前進として高く評価する旨述べ,両首脳は,これを着実に実施していくことで一致した。
 特に,野田総理から,海洋,宇宙,サイバーといった国際社会が共有する空間の安全保障の向上や,共同訓練等を通じた自衛隊と米軍の運用面での協力の発展を促進していきたい旨述べた。また,野田総理から,横田飛行場の軍民共用化につき米国の検討を要請した。

地域情勢
(1)北朝鮮
 野田総理から,先般のミサイル発射は対話を通じた問題解決に向けた関係国の努力を損なうものであるという認識を共有するとともに,今後は更なる挑発行為を防ぐことがまずは重要である,北朝鮮が核実験などの挑発行為に出る場合について,日米で連携して,国際社会として 確固とした対応をとる必要があるということで一致した。
 また,野田総理から,拉致問題に関する米国の支持・協力に感謝する旨述べ,オバマ大統領は,引き続き協力したい旨応じた。

(2)ミャンマー
 野田総理から,4月21日の日ミャンマー首脳会談の成果を説明し,両首脳は国際社会としてミャンマーの改革を一層後押しする必要があるとの認識で一致した。

(3)イラン
 野田総理から,EU3+3との今後の協議プロセスが実質的進展につながることを期待する,我が国も引き続きイランに対する「圧力」をかけ続けていくとともに,適切なタイミングで直接イランに働きかけを行う考えである旨述べた。
 これに対し,オバマ大統領から,対イラン制裁に関する日本の協力に感謝が表明された。

(4)アフガニスタン
 オバマ大統領から,シカゴNATO首脳会合のねらいにつき説明があった。これに対し野田総理から,7月の東京会合では,2015年以降も見通したアフガニスタンの持続的発展の基礎固めを行い,具体的成果を出したい旨述べた。

経済
(1)TPP・日米経済
 野田総理から,日米が協力し,地域における貿易・投資に関する高い水準のルール・秩序を作っていくことの意義は大きい,TPPはアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)実現のための道筋の一つであると認識しており,昨年11月に表明した総理の考えは変わっていない旨述べ,双方が日米間協議を前進させるようお互い努力することで一致した。その際,オバマ大統領からは,自動車,更には保険,そして従来から取り上げてきた牛肉について関心の表明があった。

(2)エネルギー協力
 両首脳は,今般両国のエネルギー協力を拡充できたことを歓迎した。
 また,野田総理から,震災の影響によりLNG需要が急増し,輸入価格も上昇していることを受け,米国から日本へのLNG輸出拡大への我が国企業の関心も高いとして,協力を求めた。これに対し,オバマ大統領から,米国は現在政策決定プロセスの途中にあるが,日本のエネルギー安全保障は米国にとっても重要であり,引き続き協議していきたい旨述べた。

(3)石油市場の安定
 両首脳は,石油市場の安定のために両国が緊密に連携していくことの重要性について確認した。

原子力協力
 両首脳は,今般日米ハイレベル対話の設置を歓迎し,同対話は今後の日米間の原子力協力を促進する上で重要との認識で一致した。また,オバマ大統領から,原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)に関する日本の対応につき言及があり,野田総理から,関係省庁間で検討を急いでいる旨回答した。

文化・人的交流
 両首脳は,日本の「キズナ強化プロジェクト」や米国の「トモダチ・イニシアティブ」などを通じ,特に青少年交流を促進し,日米同盟の更なる深化の基盤となる次の世代を育てることの重要性で一致した。
 また,野田総理から,米国による日本へのハナミズキ寄贈,及び日米桜寄贈百周年を記念すべく先月ミッシェル夫人が桜の植樹を行ったことに感謝の意を示した。

その他の議題
(1)子の親権
 オバマ大統領から,これまでの日本の取組を評価する旨述べ,野田総理から,ハーグ条約の可能な限り早期の締結を目指し,引き続き準備を進めていく旨述べた。

(2)東日本大震災による洋上漂流物
 野田総理から,東日本大震災の津波により,我が国から流出した漂流物が米国等へ接近しつつあり我が国としても憂慮している,今後も米国を始めとする関係国との連携を密にとっていきたい旨述べた。

(3)欧州復興開発銀行(EBRD)設立協定の改正
 オバマ大統領から,本件に関する日本の対応につき言及があり,野田総理から,我が国としてもEBRDによる中東・北アフリカ地域への支援開始が早期に実現することを重視している,本協定改正はすでに国会に提出済みであり,できるだけ早く国会の承認を得られるよう努力したい旨述べた。

12年前