親が離婚…子の思いは 心の葛藤、封じた記憶 聞き取りブログで発信

途中で会いに来なくなる親というのが最近挙げられることが多いのですが、
これは海外の共同養育の議論でも同様に問題にされてきました。
少なすぎる面会時間が、別居親の子どもの養育への意欲を低下させている事実を無視して
こういった議論は成り立ちにくいと思います。
海外では、こういった点を問題視して、共同養育が法制化していきました。
同居親が同席した中、隔月や月1の面会で継続する別居親の負担は過剰ですし、
同居親側も面会交流がイベント化するので、
同居親も別居親への反発を強めることになりやすいでしょう。

「新しい恋人と一緒に現れる無神経な親」というのは
感情的には理解できますが、
だとすると、再婚した同居親は全員無神経ですね。
こういった論理は、子どもを忘れて同居親も別居親も
再婚するように促してきた社会の風潮を反映しています。
そして一方の親のみが養育負担を追う、単独親権制度が制度的な担保でした。
私たちは、親も子どももそれぞれのつながりが大事だと思っているので、
社会的な価値観で、「子どもにとってよい親」を切り取るのには反対です。
もちろん、いい親だったかどうかは子どもが決めるでしょうが、
だめな親でも自分の親だと、それぞれの人が長い年月の中で
納得していくことでしょう。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2010051802000094.html

親が離婚…子の思いは 心の葛藤、封じた記憶 聞き取りブログで発信

2010年5月18日

親の離婚について気持ちを聞き出す新川明日菜さん=東京都内で
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親の離婚を子どもたちはどうみているか。離婚家庭に育ち、二十歳をすぎたばかりの女性二人が、同じ境遇の子どもたちに聞き取りを始めた。離婚は子どもの心に傷を残す。「離婚を減らす力になりたい」 (山本哲正)

親の離婚を二回経験した東京都内の新川明日菜さん(22)は昨年、ひとり親家庭をサポートするNPO法人で働き始め、気付いた。

「離婚となると、別れたくて必死で、子どものことを冷静に考えられる親は少ない」

年間の離婚数を婚姻数で割った率は、一九六〇年代まで一割程度だったが、七〇年代以降は右肩上がり。今や四割近くに達した。

「原因に家庭内暴力があるなどやむをえない離婚もあるが、子どもは寂しさと親への気遣いの間で葛藤(かっとう)している。切羽詰まってからでは遅く、結婚や出産の前に子どもの思いを知ってほしい」

新川さんはそう考え、同じ境遇で貧困家庭の子たちのため静岡県熱海市で低価格の学習塾を運営する光本歩さん(21)と、ウェブサイト「アンファン宣言」(同名で検索)を開設した。アンファンとはフランス語で「子ども」の意味。当事者の目線を大事にするとの思いだ。今年一月、親の離婚を経験した子どもたちの声を集め始め、ブログで発信している。

インタビューは顔を合わせて行う。共感し合い本音を引き出したいからだ。

二歳で親が離婚し、母親と暮らす中学生の佳菜さん(13)=仮名=へのインタビューが都内の喫茶店であった。

-「理想の夫婦は自分の親?」

-「ノー」

-「どうして?」

-「だって、離婚したくない」

「そうだよね~」と二人で笑い合った。リラックスした雰囲気で会話は進む。

佳菜さんは「友達やママとも話したことはない父親への思いや、心にしまっていたものを出せた。姉のようで話しやすかった」と笑顔を見せた。

これまでも「家庭内離婚状態のころを何も覚えていない」(二十代女性)「お父さんはいない!」(女児)と記憶を封じる声は集まっていた。新川さんも、ひとり親家庭では親も余裕がなく、気持ちのやり場に苦労したという。

「話を聞き、私自身もしまい込んでいた思いを出せる」と明かす。インタビュー自体が、気持ちを解放させる効果も生んでいる。

気がかりな話も出る。

離婚すると親権は一方の親に認められ、親権のない“親”は子どもに会いにくくなる。最近、双方の親が子どもに会えるよう共同親権制度を求める動きが活発になり、千葉景子法相も双方の親が子どもと接触する重要性を言及している。だが、インタビューでは、次第に面会に来なくなる親や、新しい恋人と一緒に現れる無神経な親も浮かび上がった。新川さんは政治的な運動をする考えはないが、「共同親権も一律に適用されると、親の姿に二重に裏切られ傷つく子も出る」と心配する。

インタビュー集は来春、出版する。「家庭について学ぶプログラムを学校教育に取り入れ、ぜひ教材の一つに」と夢は広がる。

離婚問題に詳しい榊原富士子弁護士は「離婚する親にとっても子どもの生の声を知ることは、その痛みを減らす参考になる」と期待を寄せる。

14年前