このところ、NHKでは離婚後の親子関係についての報道が続いています。
日弁連には、小馬鹿にされている別居親団体ですが、
私たちは、当初から連れ去りと面会拒否の背景には、
親どうしの関係を非和解的にする単独親権制度があり、
この点についての改革は不可欠と訴えてきました。
問題解決の先送りのために
引き離しの被害者団体の見解を前提とすることも
私たちは理解不能です。
NHKの報道は、すでに問題が
当事者団体どうしの利害対立からステージのあがった
社会的な問題として位置づけられつつある現状を指摘しています。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/200/47083.html#more
2010年05月12日 (水)スタジオパーク 「どう考える?離婚後の親子関係」
離婚の際に、一方の親と暮らす子供に、もう一方の親が会いたいと望み、裁判所に争いが持ち込まれる件数が増え続けています。離婚後の親子の交流について、友井解説委員とお伝えします。
問1:争いが増えているということですが、何が問題になっているのですか?
答1:親が離婚したり別居したりした時に、離れて暮らす親と、子供との関係を、どうすればいいかという問題が、課題として浮かび上がってきています。
子供の気持ちへの配慮が足りなかったところはないか、もっと子供の立場から考える必要があるのではないか、と専門家から指摘されています。
問2:増えているというのは、どんな争いですか?
答2:こちらは、離婚しても子供と会いたい、面会 交流ができるようにと、裁判所での話し合い・調停を求める申し立ての件数です。
この10年で3倍近くになっています。
離婚は、裁判所に持ち込まれないケースや、裁判になって和解や判決で決まるケースもありますので、離婚後の親子の面会 交流についての争いは、実際にはこの件数より多くあります。
親同士が対立して、離れて暮らしている父親が子供に会いたいと望んでも、母親に拒否されて会えないとか、逆に、母親が、自分が産んだ子供に会えないのはどうしてなのかと訴えるケースもあります。
自分の子供がどこに住んでいるかも教えてもらえなくなるケースもあります。
離婚、別居した後に、離れて暮らす親がどれぐらい子供に会えるか、会えないか、ということが、激しい争いになることが少なくないのです。
問3:どうして争いが増えているのですか。
答3:全体としては、離婚自体が増えていることが背景になっています。
平成20年の離婚件数は、およそ25万組で、平成に入って1点5倍になっています。
家庭や育児についての意識の変化もあります。
今は、離婚すると母親が子供を育てるケースが多いので、特に、父親の側に、子供の成長に関わりたいという意識が強まったと指摘されています。
そして、こうした争いへの対応を考える中で、離婚が、子供にとってどのような意味を持つか、という見方が強調されるようになってきました。
問4:どういうことですか。
答4:子供にとって、離婚にいたる緊張状態や、親と離れることは、心理的に大きなダメージになるということです。
子供の反応は、年齢によっても違いますが、親を失ったという強い喪失感を持ち、自分が悪いのではないかと自分を責める気持ちになることが、よくあるといいます。
小さい子供であれば、夜泣きをしたり、おむつがとれなくなったり、小学生ぐらいでは、学習意欲が下がるとか腹痛を訴えるなどの形に表れることがあるそうです。
それに対して、離婚して離れて暮らしている親とも、継続的に交流が続いていると、子供にとって、両方の親から大事にされていると感じられる、
そしてそのことが、子供に安心感を与え、生きる力を育み、健やかに育っていくために、大切な意味があるというわけです。
日本よりも早く、同じような問題が起きた海外でも、こうした結果を示す、心理学の研究結果があるということです。
例えば、子供自身が会いたくないと言っていても、本当は会わせた方がいいケースもあるといいます。
一方の親を失ったと感じた子供は、引き取ってくれた親までも失ってしまうことを強く恐れ、一緒に住んでいる親が望みそうな言動をとることがあるからです。
子供の気持ちを尊重することは大切ですし、児童虐待やDVがある可能性も考えなければならないのと同時に、子供が自分の心を押さえ込んでしまっているケースも少なくないので、慎重に見極めなければなりません。
問5:ただ、親と子供はできるだけ会った方がいいと言っても、親同士が争っていると、簡単にはいきませんね。
答5:その通りです。離婚の争いは、夫婦、家族ごとに千差万別で、一概には言えません。
親同士の信頼関係がなくなって、子供を連れ去られてしまうと恐れる場合もありますし、子供を引き取ってようやく落ち着いたのに、子供を動揺させたくないと主張するケースもあります。
難しい問題ですが、今の状況を、そのままにしておくことはできないとして、このところ、研究者や弁護士から、離れて暮らす親とも、できるだけ交流を継続できる環境を整えるよう求める提言が相次いで出されています。
問6:どのような内容ですか。
答6:離婚後の親子の交流を手助けする態勢を充実させるべきだという指摘があります。
親同士の対立が激しい場合に、面会に応じる不安を小さくするために、親子の面会に第三者として立ち会い、面会する場所を提供するなどの支援活動です。
今も支援をしている団体はあるのですが、サポートする専門家を育成し、面会のための施設も増やしていくべきだというわけです。
制度、法律についても、変えるよう求める意見もあります。
離婚した後も、親が子供に会えるように法律で定めるべきだ、
子どもを育て教育する親の権利・親権を、離婚しても、父親と母親の両方が持つようにするべきだと求める意見です。
海外では、離婚した後も、両親がいずれも、子供の養育に権利と責任を持つ制度になっている国が多く、日本でも同じような権利を求める考えです。
子供の利益を第一に考える立場から、専門家が離婚の話し合いなどに関わる、子供の代理人という仕組みを求める提言もあります。
いずれも、離婚しても、親子は親子であって、子供にとって大切な親として、子供の成長に関わり続けられれば、その方がいいだろうという考え方です。
問7:考えなければならないことが、たくさんあるのですね。
答7:検討すべき点が多くて様々な意見があり、すぐに結論が出る話ではありませんが、親の離婚を経験する未成年の子供は、1年におよそ25万人にのぼります。
離婚について、夫婦の問題として考えるだけでは不十分で、子供にとってどうなのか、という視点から考えた対応が欠かせないのは確かです。
離婚による子供のダメージをできるだけ小さくするために、社会的な環境づくりを考えなければならない状況になっています。
投稿者:友井 秀和 | 投稿時間:14:17