離ればなれになった親子の再会について、国が法改正へと動き出した。
子どもを抱き、カメラに向かって微笑む母親。
この母親は、「子どもを取り戻したい」と訴えている。
2011年3月、この女性のアメリカ人の夫が、「里帰りをする」と言って、2人の子どもを連れてアメリカへ渡り、そのまま日本へ戻らなくなったという。
ア メリカ人の夫に子どもを連れ去られた女性は「主人は、その前に、アメリカに帰りたかったみたいで。その時から、連れ去りを計画していたのかもしれないで す。(2011年)8月の終わりに銀行に行ったんです。お金がゼロじゃないですけど、ほとんど残っていない状態とわかった」と語った。
夫に子どもを連れ去られたと主張する女性。
さらに2011年12月には、突然、「離婚したい」と連絡が来たという。
長男は当時、小学校の入学直前だった。
子ども部屋には、今も一度も使われていないランドセルが残されていた。
この夫婦は、今も離婚調停中だという。
こうした国際結婚によるトラブルで、日本は以前からハーグ条約に加盟するよう迫られていた。
ハーグ条約とは、国際結婚が破綻し、夫婦の一方が子どもを無断で国外に連れ去った場合、加盟している国は、その子どもを探して、元の居住国に戻す協力をしなければならないという条約。
現在、欧米を中心に、87カ国が加盟している。
しかし、これまで日本は、家庭内暴力などを理由に加盟していなかった。
FBI(連邦捜査局)のウェブサイトには、「WANTED」と書かれたページに、日本人の女性たちが写っている。
アメリカでは、子どもを連れ去って帰国した女性は、「誘拐犯」として指名手配されている。
6年前、当時11カ月の娘を日本人の妻に連れ去られたと訴える、アメリカ人のパトリック・ブレイデンさんは「(娘は当時)まだしゃべることもできなかった。娘は、わたしの声を覚えていると信じているし、写真もいっぱい撮っている」と語った。
現在FBIは、元妻の逮捕状をとっている。
しかし、ブレイデンさんは「(元妻が逮捕されることは)わたしにとっても、娘にとってもいいことではない。(日本の条約加盟は)時間がかかりすぎだと思う。ほかの先進国はみな加盟している」と語った。
そんな中、7日、ハーグ条約に加盟する際の必要な法案の要綱が取りまとめられ、小川法相に提出された。
小川法相は「このハーグ条約については、早急に所要の法整備を図り、適切な措置を講ずる必要があることから、部会においても、精力的に調査審議をしていただきたい」と述べた。
ハーグ条約にくわしい、大谷 美紀子弁護士は「DVや子どもに対する虐待のように、子どもを元の国に帰すこと自体が、子どもにとって、さらに害になる場合に、子どもを帰さないという判断が必要になるが、そういう判断が実際には難しい」と語った。
(02/07 18:48)