毎日:ハーグ条約:子の所在、民間にも照会 外国から返還請求時--加盟へ指針

ハーグ条約:子の所在、民間にも照会 外国から返還請求時--加盟へ指針

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国際結婚が破綻した場合の子の扱いを定めたハーグ条約の加盟に向け、日本国内で子の所在特定などの実務を担う「中央当局」となる予定の外務省が、 その任務や権限についての指針をまとめた。日本人の親が子を日本に連れ帰り、外国人の親が子の返還を請求した場合、子の所在特定のため、外相が自治体など のほか、ドメスティックバイオレンス(DV)の民間保護施設(シェルター)などにも個人情報の提供を求められるとした。

条約は、16歳未満の子を連れ出された親からの返還申請を受け、子がいる国の政府は原則として子を元の国に戻すと定めている。

実際に子を返還するかどうかは、国内の裁判で決めるとしており、法制審議会(法相の諮問機関)が2月上旬に判断基準を含めた答申を出す見通し。

子の所在特定は、裁判開始などに必要な手続きの第1段階で、申請を受けた国の中央当局は「すべての適当な措置をとる」よう条約で義務づけられてい る。指針では、子がいるとみられる自治体や私立を含む学校、民間の保育施設やDVシェルターのほか、電話番号から住所を調べるため通信会社などに対して も、情報提供を求める権限を外相に与えた。照会を受けた団体は「遅滞なく情報提供する」と規定。見つからない場合は、外務省が警察に捜索願を出すことがで きるとした。

一方、情報提供の範囲は政省令で厳格に定め、外務省が得た個人情報は、子を連れ出された親を含む第三者に渡すことを関連法で禁じ、漏えいを防ぐ。【横田愛】

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■ことば

 ◇ハーグ条約

83年に発効した「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」の通称で、国際結婚が破綻した夫婦間の子(16歳未満)の扱いに関する国際的なルール を定めたもの。元々住んでいた国から子を連れ出された親が返還を求めた場合、相手方の国の政府は原則、元の国に戻すよう規定する。欧米を中心に87カ国が 加盟。

 

毎日新聞 2012年1月22日 大阪朝刊

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