毎日:ハーグ条約加盟要綱案:DV被害の元妻ら「まだ不安」

ハーグ条約加盟要綱案:DV被害の元妻ら「まだ不安」

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「ハーグ条約」の国内手続きについて法制審議会の要綱案が23日まとまり、返還を拒否できるケースなどが示された。だが、配偶者による暴力(DV)から逃れて帰国した女性からは「これで本当に解決するのか」と不安視する声も上がった。

欧州から数年前に2人の子を連れて帰国した首都圏の50代女性は「返還を拒否できる場合の基準があいまいでDV被害者などが本当に守られるのか不 安」と訴える。元夫はささいなことで怒り出し暴れる性格で、離婚を切り出すと「お前を殺してやる」と子供の前で脅され、首を絞められたりしたという。

現地の裁判所で元夫の接近禁止を求め、怒鳴り声や暴力をふるっている音が入ったテープ、恐怖感を訴える子供の日記などを提出したが、DVと認められなかった。親の病気を機に一時帰国が許されて日本に戻り、そのまま帰っていない。

女性は「虐待やDVの証拠を集めるのは難しい。(返還拒否の事情として考慮される)『子供に影響を及ぼすほどのDV』と認める基準は国によって違うと思うが、外国の顔色をうかがってその判断が狭くなると怖い」と話す。

外国での邦人保護を強化すべきだとの声もある。

07年に英国で夫と離婚した東京都内の女性(48)は「条約加盟と同時に在外大使館などで海外に住む日本人をサポートする仕組みが必要ではない か」と指摘する。女性は英国での裁判で2人の息子と日本に住む許可を得る「正規ルート」で帰国したが、裁判費用は4000万円以上。「独身時代にためた全 財産をはたいた」という。

条約加盟を「日本に連れ去られた子にアクセスする手段ができることで海外の裁判所も日本人の親に帰国許可を出しやすくなる」と歓迎する一方、「経済的に恵まれていたり、現地の言語や法律に詳しくなければ、正式裁判で許可を得て帰国するのは難しいだろう」と懸念した。

条約の適用は日本人同士の夫婦でもあり得る。日本人の夫と結婚しカナダに移住していた明尾雅子さん(53)は06年、関係が悪化した夫に長男を日 本に連れ帰られた。日本が条約加盟国でなかったことから長男をカナダに連れ戻せず、自らも帰国。離婚した夫との裁判は長引き、長男との面会はまだ2回しか 実現していない。

配偶者に子供を連れ去られた親のグループの代表を務める明尾さんは「約100人のメンバーのうち40人程度はハーグ条約に加盟していれば子をいっ たん取り戻せたはずのケース。(条約加盟後は)加盟前の事案にもさかのぼって適用してほしい」と話している。【反橋希美、伊藤一郎】

毎日新聞 2012年1月23日 22時25分

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