毎日記事「親子が別れる時:離婚を考える 読者の反響特集 共同親権に高い関心」

毎日新聞の連載に対する読者の反響です。
離婚後の親子関係を公に話すことはタブーでした。
マスコミの報道の結果、ルールのない離婚後の親子関係の実態が
だんだんと明らかになってきています。
しかし、実際問題なのは、裁判所の運用です。
反響の中にも一部出ていますが、
現在の家裁の運用の結果、会えなくなった親子はたくさんいます。
このような状況で親権を手放せば、子どもと会えなくなるという
アドバイスを、別居親支援団体としてはせざるをえない現実を
もっと社会は認識すべきと思います。

http://mainichi.jp/life/today/news/20100630ddm013100171000c.html

連載「親子が別れる時~離婚を考える」(5月10日から5回)に多くの反響をいただきました。離婚後も両方の親が子どもの養育にかかわる海外の「共同親権」制度を紹介しましたが、日本での導入には賛否双方の意見が寄せられています。皆さんはどう考えますか。【反橋希美】
◇「面会制限減る」と期待 「周囲の協力不可欠」指摘も

「あまりの理不尽さに目の前が真っ暗になりました」。大阪市で古書店を営む島元草多さん(28)は、娘(6)が元妻の再婚相手に養子縁組された時のショックをつづった。

元妻とは約5年前に別居。当時伝い歩きをしていた娘との面会は、週1回10時間と取り決めた。正式に離婚してからも娘との交流は続き、島元さんの生きがいだった。

だが昨年5月、突然元妻から「再婚するから面会をやめて」とメールがきた。婚約相手に会い「再婚は祝福するが、親子の交流は別だ」と面会の継続を頼み込んだが、相手は「父親役が2人いると混乱する」と、にべもなかった。

島元さんは親権者変更を求める調停を起こした。ところが途中で娘を養子縁組されたため、裁判所に「申し立てる資格がなくなった」と告げられた。その後の面会要求では調停委員に「相手方は娘さんとあなたの結び付きが強いので不安がっている」と説得され、月1回3時間との条件変更を泣く泣くのんだ。

今月下旬、約1年ぶりの面会をした。恥ずかしがりやの娘の緊張が解けきれないうちに、時間が過ぎた。「会わない方が娘のためなら、決断しなければ」と悩む一方で、懐いていたころの娘を思い出すとやりきれない。「日本が共同親権制度になれば、こんなに関係を制限されないのではないか。会いたいのは私のエゴなのか」。気持ちは揺れる。

3人の子と離れて住む大阪府の女性会社員(40)は「面会交流の可否が(相手方の)親族の考えに委ねられている」と訴える。

女性は夫の実家で暮らしていたが、姑(しゅうとめ)と折り合いが悪く、関係は次第に悪化した。夫に相談しても「我慢しろ」と言うだけ。帰宅するのも苦痛になり、ついに家を出た。

子どもたちは「友達と離れたくない」と言うので連れて行かなかった。親権を取り離婚したらまた一緒に暮らせると思っていた。だが、離婚調停で夫は離婚を拒否。姑とは関係を修復しようにも話し合う場はなかった。

別居して2年、子どもたちと会えたのは夫の同伴付きで4回だけ。子どもは女性の連絡先を知っているが、何の連絡もしてこない。一時は生きる希望を失いかけたという。

女性は言う。「心から子どもを送り出してくれる周囲の環境がなければ、共同親権制度ができても面会は難しい。結局は『大人の良識』にかかっているのではないでしょうか」

一方、離婚後も祖父母を含めた交流を続けられた家族もいる。兵庫県西宮市の女性(69)は「20年近い孫2人の養育が終わりました」という。

女性の息子は孫2人が幼いころ、金銭問題で離婚。元嫁が孫を引き取ったが、女性も経済的な援助をしてきた。孫は自由に両方の家を行き来し、女性は運動会などの学校行事にも参加した。

下の孫が専門学校を卒業した今春、女性は元嫁の母と食事に行き、成長を祝ったという。「意地を張り合っても始まらない。皆で子どもたちの成長を見守り、いい関係が築けた」と振り返る。

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■父思う気持ち整理できず

記事を読み、私も中学時代に別れた父に会えていたら、と思いました。母によると、離婚原因はDV(ドメスティックバイオレンス)とギャンブルだったそうですが、いまだに父を思う気持ちが整理できません。理想の父親像がうまく描けず、そのために良い相手に恵まれないのかな、と考えてしまいます=北九州市、会社員、松尾哲夫さん(31)

■離婚後も精神的虐待続く

3年半前に離婚、6歳の子を育てています。調停で決まった月1回の面会を続けていますが、子どもは面会から帰ってくると2、3日落ち込んだり、様子が違います。元夫は面会に5分遅れると子どもの前で怒鳴り散らし、結婚生活中の精神的虐待が続いている状態です。共同親権制度は、大人が自己満足するだけの制度になりかねません=北海道、事務員、女性(35)

■「子の権利」社会が認識を

夫の女性関係とDVが原因で別居、6歳の子と暮らせなくなりました。調停で面会を求めましたが、月1回1時間、夫の監視付きではスキンシップもままなりません。突然のキャンセルや時間短縮など、子どもを利用して嫌がらせのようなことをします。「面会交流は、子どもの権利で両親の義務」という認識が社会に広がってほしいです=奈良県、病院職員、女性(34)

■北米でももめ事尽きず

北米で長年児童福祉に携わり、共同親権制度に翻弄(ほんろう)される子も多く見ました。面会を拒否するために元配偶者が子を虐待していたと訴える人もいますが、虚偽もあるので、子どもは事実確認のために専門家に何度も話を聞かれます。祖父母も面会を請求でき、クリスマスをどこで過ごすかなど、もめ事は尽きません。共同親権の理念は良いと思いますが、最終的には自分の権利より子の利益という視点で考える、親の姿勢が必要だと思います=カナダ在住、セラピスト、40代女性

14年前