「そのイクメン大丈夫? 取り残される離婚後の共同養育」東京新聞社説について

「そのイクメン大丈夫? 取り残される離婚後の共同養育」 東京新聞社説について

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2010072302000074.html

最近は「イクメン」と呼んで、
子育てを女性とともに担う男性が推奨される傾向にあります。
こういった動きは私たちは歓迎です。
離婚後、子どもに会えなくなった父親は、
むしろそうしてきた父親はもちろんいて、
話題になる前にイクメンだった人が多いのです。

水を差すようですが
公平な育児分担が夫婦間のもめごとのネタにならないとは限りません。
子育てにおける決定には価値観の違いが色濃く反映されます。
以前のような性別役割分業と公平な育児負担の価値観が混在している
現在、子育てが夫婦間のもめごとのネタになる可能性もあるでしょう。
夫婦間のパートナーシップの維持は子育ての公平な分担とは必ずしも直結しません。

イクメンだった父親がなぜ、会えなくなるかといえば、
カップリングもあるし、相手方の言い分があったにしても、
もともと仲のよい親子を引き離すシステムになっているからです。

離婚後の子の養育の問題は、
親権制度と婚姻制度(離婚制度)両方
考えないと実際は難しいでしょう。
子どものことを決めないで離婚できる協議離婚は問題なのですが
方や裁判離婚になると離婚できないので
(つまり離婚するには相手が悪いという理由がいる)
いったん裁判所を経由すると
絶対に友達には戻れなくなります(敵同士になる)。
世間も離婚をタブー視し、権利として認めません。

特に男性にひどいめにあってきた女性を救うためにがんばってきた人たちは
有責主義と単独親権のルールの中で男性の責任を追及することが
(とくに金銭的な面では)一定程度できたという点があるため、
現在のルールを親子の引き離しという面ではあまり疑問視しません。
しかし一方、無責任な男に責任をとらせたい女性や
育児負担を負わせたい女性も現在のルールでは孤立しがちです。

最近一部で言われるように、
男女平等社会の実現が共同親権の前提であるとするなら、
どのような状態になれば男女平等社会であると言えるのか、
そのためにどうすればよいのかというのを示さなければ、
現在生じている問題の先送りと批判されかねません。
「子育てしてこなかったくせに今さら父親ぶっても」
と批判するだけではなく
「だったら今からでも育児に関われ」と
養育負担を課すことも共同養育です。
私たちは、子どもに会いたいのではなく
養育にかかわりたいのだから、両者の利害は一致しているはずです。
イクメンもそういう意味ではもっともっと広がっていくべきです。
しかし問題は、社会的な偏見もあって、双方に単独育児が強制される点です。

現状破綻主義になっている現在、
離婚後の共同養育がルールになっていないと
実行支配という以上のルールはありえません。

イクメンが増えるのは大いにけっこうですが、
離婚後の共同養育が取り残されれば、
途中ではしごを外すようなもの。
おちおち楽しくイクメンをしていられないでしょう。
もちろん、3組に1組が離婚するのに、
イクメンであれば離婚しても共同養育できるという保障もありません。
相手がよいパパであれば親権をとれないとなれば、
相手から子どもを引き離して確保するしか手はない。
その後、自分たちで共同養育をするのは不可能に近くなります。
現在の制度でイクメンが増えれば増えるほど、
親子引き離しの悲劇も増えていくことでしょう。

というわけで明日は「共同養育の日」
1時からの集会にぜひ参加ください。
事前申込みはいりません。
どなたでも参加できます。

【以下、東京新聞記事】

イクメン 父親も子育ての主役だ

2010年7月23日
育児に積極的な男性を「イクメン(育メン)」と呼ぶ。
子育てパパに注目が集まっている。
男性の育児参加を後押しする改正育児・介護休業法も先月施行された。
父親も、もっと子育てしよう。
イクメンは、子育てや家事も積極的に楽しむ父親たちだ。
厚生労働省は六月から、父親の育児体験などを掲載するホームページを開設するなど、
子育て参加を後押しする「イクメンプロジェクト」を始めた。
働く母親には出産後、仕事と子育ての負担がのしかかる。
父親も子育てすれば、母親は働き続けられる。
子育てが孤立しがちな専業主婦にも支えになる。
子供にとっても父子のきずなを強められる。
父親には仕事とは違う発想や面白さを発見できたり、地域で新しい人間関係もできる。
同省調査では、夫の休日の家事・育児時間が六時間以上の夫婦では、
最近六年間に第二子以降が生まれた率は五割を超えた。
夫が子育てに熱心なほど、子供を産もうという意欲が高くなる。
現実は、六歳未満児のいる男性の家事・育児時間は一日やっと一時間で、欧米の三分の一。
父親の育休取得率の国の目標10%(二〇一七年度)に対し、〇九年度はまだ1・72%だ。
明るい材料は、育休取得を希望する子育て世代男性が、三割を超えていることだ。
二十代前半では約四割になる。
施行された改正育児・介護休業法では、
夫婦ともに育休を取ると取得期間が延びたり、夫婦が交代や同時取得もできる。
妻の産後八週間以内に夫が取った場合、再取得もできる。
産後の体調回復期と、職場復帰時期に妻を支えられる。
妻が専業主婦だと、夫は休業できない職場もあったが、この制度も改められる。
課題は、男性の育休中の収入減だ。
雇用保険から賃金の50%が支給されるが、家計を支えるには心もとない。
「取得を言い出しにくい職場の雰囲気」「キャリアアップの障害」との不安もある。
制度を使えるような職場環境にする努力が、企業には求められている。
子育ては「手伝う」ものではない。
父親も子育ての主役だ。
「家族サービス」という義務感もひとごとという意識だ。
“育休”を取った東京の成沢広修文京区長は
「日々いろいろな発見がある子育てを、女性だけに任せるのはもったいない」と呼び掛ける。
子育てを楽しもう。

14年前