原発事故を理由に、日本人と結婚した外国人が子どもを連れて母国に帰るケースが出始めている。子を連れ戻すのに有効なハーグ条約に日本は加入しておらず、子を奪われた母親は途方に暮れる。
東海地方で暮らす公務員の女性は米国人と結婚し、7歳と5歳の息子がいる。夫は昨年3月、2人の子を連れ、1カ月の予定で「里帰り」を兼ねて米国へ旅行に出かけた。その直後、東日本大震災が起きた。夫は原発事故の影響を恐れ、米国を離れようとしない。女性が帰国を促すと「子どもを放射能の危険にさらすのか」と拒んだ。
米国では震災後、津波や放射能の被害が連日報じられた。女性はインターネットのテレビ電話で米国の夫や子に連絡し、東海地方は安全と訴えた。でも、夫に教えられたのか、子どもたちは「日本は水がバシャーン、バシャーンであぶない。エア(大気)に毒も入っている」と不安がった。
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