東京新聞:国際離婚の外国人「法改正を」「子に会いたい」切望

 

 国際離婚の外国人「法改正を」「子に会いたい」切望

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2011年12月15日 夕刊

 
 国際離婚でわが子と会えなくなった日本在住の外国人と支援者らが二十二日、子との面会交流の保障などを求め、法務省前でアピール活動を行う。政府が離婚後の子の扱いを定めたハーグ条約への加盟準備を進める中、外国人親の権利に配慮するよう国内法の改正も促すのが狙い。クリスマスを前に、親たちが「子どもに会わせて」と切実な声を上げる。

 活動を計画しているのは欧米人などが参加する当事者グループ「LBPJ」と、アジア・アフリカの外国人を支援するNPO法人「APFS」。国際離婚の問題が近年深刻化していることを受け、初めて連携した。

 外国人の場合、離婚でビザが下りなくなったり、日本独特の「保護者」という立場を理解できなかったりと、日本人同士の離婚よりもトラブルが起きやすい。法的な知識も乏しく、裁判で不利になることがあるという。

 当日は外国人親らが法務省前でキャンドルをともしてアピールする予定。離婚後の共同親権や外国人親の在留資格、子どもとの面会交流の保障などの法整備を求める。

 APFSの加藤丈太郎代表理事(29)は「ハーグ条約に加盟しても、有効な国内法が整備されなければ骨抜きだ」と主張。自身も子どもに会えなかった経験があるというLBPJのカルロス・スミス共同代表(43)は「このような問題が起きていることを、広く知ってもらいたい」と話す。

 厚生労働省の人口動態調査によると、結婚全体に占める国際結婚の割合は二〇〇六年の6・1%をピークに減少に転じたが、離婚全体に占める国際離婚の割合は一〇年に7・5%で、十年前より六割近く増えた。

 

 

 

 

 

 

愛情、子どもが感じる時間 別居親子の「面会交流」促進詳細はこちらから

2011年10月21日

 

 両親の離婚後などに、子どもが別居親と会って過ごす「面会交流」。実際に行われているのは二割程度とみられるが、今年五月に民法が改正され、今後は離婚の際に取り決めをすることが決まった。支援者らに交流の意味を聞いた。 (竹上順子)

 一緒に積み木を重ねると、男の子(2つ)は父親(39)の顔を見てニッコリ笑った。一カ月ぶりの再会。父親は「甘えてくれるのがうれしい。お父さんだと認識しているんですね」と顔をほころばせた。

 二〇〇九年に離婚し、長男は母親(33)と暮らす。面会交流の約束はあったが、会えなくなったため父親側から働きかけ、調停に。第三者機関がかかわることを条件に今年六月、四カ月ぶりに面会交流が再開された。

 会うのは月一回、二時間ほどで、仲介支援をする「NPOびじっと」(横浜市)の男性スタッフが付き添う。日程などの連絡はびじっとが行い、当日はスタッフが母親から長男を預かり、遊び場で待つ父親に会わせる。

 ほぼ毎回、同じスタッフが付き添い、父子が遊ぶ間は求めに応じて写真を撮ったり、離れて見守ったり。母親は「間に入ってもらえるのでやりとりがスムーズ。今後も利用したい」と信頼を寄せる。

 びじっとは〇七年に事業を開始。付き添い(三時間一万五千七百五十円)や子どもの受け渡し(六千三百円)など、月に十二件ほどの仲介を行う。中には隔週一泊二日や、夏休みに一週間など長期の交流をする利用者も。スタッフは見守りのほか、子どもとの接し方が分からない別居親に助言したり、感情的になりがちな親をサポートしたりもする。

 「面会交流は、子どもが『愛されている』と感じるために行うもの。元夫婦の間に葛藤があっても大人として対応してもらう」と古市理奈理事長は強調する。利用前には必ず父母それぞれと面談して、目的や意義、約束事などを話している。

 「面会交流の継続は子どもの自己肯定感を育て、親を知る権利を保障する」と、家庭問題情報センター(FPIC)東京ファミリー相談室(東京・池袋)の山口恵美子常務理事は話す。虐待などがあれば面会交流は認められないが、中には同居親への配慮から別居親と会いたがらない子もおり、対応には注意が必要という。

 「別居親がたとえ良い親でなくても、子ども自身に評価させないと思春期の自分探しが難しくなることも。将来まで考え、交流を続けるかどうかは、少し会わせてから子どもに判断させて」

 年間離婚件数は約二十五万件で、約六割に未成年の子どもがいる。乳幼児を抱えての離婚も増えており「愛着形成のためにも面会交流の重要性は増しているが、家庭裁判所などの理解は遅れている」と、日米の面会交流や離婚後の子どもの心理に詳しい棚瀬一代・神戸親和女子大教授(臨床心理学)は指摘する。

 家裁では「面会交流のしおり」やDVDを作り、離婚調停時などに紹介しているが、棚瀬教授は「もっと積極的な親の教育プログラムが必要」と話す。調停や審判で決まる面会交流の頻度は月一回、数時間程度が多いが、「親子の絆を維持するには不十分」という。

 改正法は来年六月までに施行されるが、棚瀬教授は「取り決めをしやすくするため、各地の家裁にマニュアルや相談窓口を置いてほしい」。山口常務理事は「離婚の九割が裁判所が関わらない協議離婚。離婚届に取り決めの記入欄を設けるなど、法律の空文化を防ぐべきだ」と提案する。

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