十勝毎日新聞:DV「駆け込みシェルター」資金不足で運営窮地

DV「駆け込みシェルター」
資金不足で運営窮地

DV(ドメスティ・クバイオレンス)被害者の一時保護や自立支援を担う民間組織
「駆け込みシェルターとかち」が慢性的な黄金不足に悩んでいる。
利用実績に応じて道から委託金が交付される出来高払いが主要な財源だが、
事務所家賃や人件費など運営費を賄うには、道や帯広市などの補助金収入を
加えても不足、会員の寄付金で窮状を一時的にしのいでいる。
利用者が近年増えているものの、関係スタッフは「本来、被害者が少ない方が望ましい。ただ、誰もいないと、運営は大変」とし、
安定的な財源の確保に頭を抱えている。

シェルターの運営には年約600万円が必要で、収入としては
シェルター利用者1人に対して1日7650円が支払われる道の一時保護委託金を
はじめ、地方公共団体の支援として、
道の活動強化補助金(電話基本料金と人件責の半額)の年51万円と、
帯広市の年20万円の補助がある。
今年度は新たに十勝町村会から10万円の助成を得た。

3カ月分給料出ず・・・

しかし、自治体からの助成金は道内7施設(非公開の釧路市を除く)の
中で最も少なく、利用者がいなくてもシェルターや事務所の家賃など
固定的な経費が掛かる。
「3カ月分の給料が出ず、窮状を知った会員からの寄付で賄ったこともある」と
同シェルター。1カ月間利用者がいない状況が続くと、
財政状況は相当厳しくなるという。
利用者がシェルターの設置場所を配偶者に誤って伝えで移転を余儀なくされ、
想定外の経費が発生したこともある。
引っ越し作業や電器製品の取の付けなどは会員の
知り合いの業者の善意に助けられているのが現状だ。
こうした窮状に今年度から2年間については、国の「住民生活に妻交付金」として
年約735万円の補助金が支給される。
人件費、自立支援事業費、同伴児童の保育や学習支援に要する経費として
収支バランスの均衝と活動の充実が図られる。
しかしスタッフは
「恒久的なものではない。この補助金が打ち切られた2年後はどうなるのか」と
不安を募らせる。
別の女性スタッフは「若い世代に活動をつなげていくためには財政基盤が
しっかりしていなければ。残念だが、男女共同参画社会の実現を目指す
私たちが経済的に自立ができていない」と話す。

補助金収入も不透明

「出来高」見直しを

スタッフは調停・裁判の打ち合わせや利用者の子供の転入手続きなどを
担うほか、関係機関から入る連絡に24時間体制で対応している。
中村清人事務局長は「行政が本来やるべきことを
やっている。『出来高払い』ではなく、活動に対して補助してほしい」と
訴える。道くらし安全推進課はシェルターが財政的に厳しいとは聞いているが、
交付金などの制度を利用して努力している」とするが、
道外では財政難からシェルターを廃止する例もあり、
財源問題の早期解決が求められる。(滞村真理子)

駆け込みシェルターとかち 1997年に発足し、現在正会員42人、賛助会員58口。
DV防止法を受け2002年、道から一時保護の委託を受ける。
利用者は06年度16組、07年度18組、08年度13組、09年度23組、
去年度は過去最高の23組。今年度は25日現在で11租が利用している。
電話相談は0155-30-1919(午後2時~同5時)へ。

13年前