西日本新聞:共同親権もっと議論を 離婚後の面会 トラブル多く 別府市で集い

共同親権もっと議論を 離婚後の面会 トラブル多く 別府市で集い

2011年10月29日 11:07
 離婚して子どもに会えなくなった親の思いを語り合う集いが今月、大分県別府市内で開かれた。日本は離婚の際、父母のどちらかに親権者を指定する「単独親権制度」を採用する。このため親権を失った親は、子どもに会える法的な保証がない。集いでは共同親権を求める声も出た。

主催したのは、離婚後も両親が共同で子どもを育てられる社会を目指して活動する社団法人「共同親権運動ネットワーク」(Kネット、東京)。この日の集いには大分や福岡などから、離婚や調停中で子どもと別居している男女6人が参加し、現状を語り合った。

「家に帰ったら子どもたちがいる-そんな普通の関係でいたいだけなのに」。40代の男性は4年ほど前、仕事から帰ると、家に妻と3人の子の姿がなかった。しばらくして離婚調停の通知が届く。応じれば、日本の現状では母親に親権が渡る傾向が強い。「夫婦の縁は切れても、親子の縁が断たれるのはおかしい。共同親権制度になれば、両方の親と交流でき、こんなことは起こらない」と訴える。

大分県内に暮らす40代の女性の場合、小学生の長男の親権は元夫にある。当初は週末に長男と会えたが、今は拒否されている。元夫が再婚し「子どもに2人の母親はいらない」との考えからだ。「子どもは私に会いたいとも口に出せないでいるのではないか。子どもが気持ちを押し込めなくて済むよう、両親や親戚からたっぷり愛情を受けられる環境になれば…」。そう言って携帯電話の待ち受け画面に映る長男の写真を見つめ、涙を浮かべた。

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離婚後の面会をめぐるトラブルは増えている。家庭裁判所に審判や調停を申し立てる件数は年々増加。また、親権者の決定には「監護の継続性」が重視され、特に離婚調停中に誰が一緒にいるかで親権者が決まる傾向が強いため、連れ去りも問題化している。

家事法制度に詳しい弁護士の中村多美子さん(大分市)は「制度の仕組み上、親権の奪い合いになり、連れ去った者勝ちになっているのが現状」と説明する。欧米では親権や監護権という概念そのものが解体し、子どもの養育は国が援助するのが一般的。中村さんは「単独親権を強制するのではなく、親子法の制度をしっかり整備すべきだ」と提言する。

一方、共同親権に否定的な弁護士の原田直子さん(福岡市)は、単独親権制度が変わらない背景について「子どもにとって本当に共同親権がいいのか、議論が十分になされていない」と分析。その上で「親権者が2人いると養育で意見が分かれ、混乱が起きる可能性も高まるなど、法的な基盤をきちんと整備しないと、逆に紛争を拡大する火種にもなりうる。もっと議論が必要だ」と指摘していた。

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Kネットの集いは毎月第3土曜日、別府市で開催。問い合わせは事務局にメールで(knet‐beppu@ctb.ne.jp)。

=2011/10/29付 西日本新聞朝刊=

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