普天間「結果出す時期」、米大統領が要請 日米首脳会談
【ニューヨーク=黒沼晋】訪米中の野田佳彦首相は21日午後(日本時間22日未明)、ニューヨーク市内の国連本部でオバマ米大統領と初めて会談した。両首脳は日米同盟の深化に取り組む方針で一致し、世界経済の安定へ両国が連携していく姿勢を確認した。懸案の沖縄県の米軍普天間基地移設問題では、大統領が「結果を出す時期に近づいている」と進展を強く要請。首相は沖縄県民の理解を得るために全力を挙げる考えを示した。
会談時間は約35分間。米側はクリントン国務長官とガイトナー財務長官、日本側は玄葉光一郎外相、長島昭久首相補佐官らが同席した。
首相は東日本大震災での米国の支援に謝意を示したうえで「日米同盟が日本の外交の基軸だとの信念が揺るぎないものになった」と強調。大統領は「日本は最も緊密な友好国、同盟国の一つだ」と指摘。震災支援を継続する方針も表明した。
経済問題では大統領が「世界の二大経済国として、成長の推進、雇用の創出などで生産的な話し合いをしたい」と強調。首相は「一番の懸念は世界経済が再び後退しつつあるのではないかということだ」と述べ、欧州の債務問題でも「欧州が結束し、迅速に対処していくことが不可欠だ」と指摘した。
普天間問題では、首相が沖縄県名護市辺野古に移すことを明記した日米合意を順守する立場を強調。両首脳は最優先の課題として解決をめざす方針で足並みをそろえた。首相は「沖縄の負担軽減を図りながら沖縄のみなさんの理解を得るように全力を尽くす」とも伝えた。
大統領は日本による米国産牛肉の輸入制限について「これまでに長い時間が経過しており、進展させてほしい」と撤廃を改めて要求。首相は「日米双方が受け入れ可能な解決に向けて継続していく」と応じた。
環太平洋経済連携協定(TPP)では、大統領が「日本の取り組みと議論を歓迎する」と、参加への期待感を表明。首相は「議論を積み重ねてできるだけ早期に結論を得る」と応じた。同時に、TPP問題が焦点となる11月のハワイでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議について、具体的な成果が出るよう日本としても協力する考えを示した。
国際結婚が破綻した場合の子供の扱いを定めたハーグ条約を巡っては、大統領が日本の早期加盟を要請。そのうえで、条約の対象とならない既存の事例でも対応を取るよう求めた。首相は「可能な限り早く条約を締結するために準備を進めている」と応じた。
北朝鮮問題では、日米韓の3カ国が緊密に連携する必要性で一致。首相は日本人拉致問題について「主権の侵害であり、人権の侵害だ」と述べ、解決に向けた協力を要請した。
このほかカダフィ政権が崩壊した新生リビアへの支援を表明。テロとの戦いが続くアフガニスタンへの関与はさらに続けるとの認識を伝えた。