まずはしばらくサイトの更新が滞っていたことをお詫び申し上げるとともに、再開をお知らせいたします。
言い訳になりますが、その間に東日本大震災、そこから続く原発問題があり(まだ終息したわけではありませんが)、哀悼の意を表するとともに、なんとなく自粛しておりました。
しかし世の中の様変わりのスピードは速く、離婚後の親子を巡る環境も、民法の一部改正、家事事件手続法、ハーグ条約の批准と大きく変わろうとしています。こうした中で報道は連日のようにされるようになり、他の連携団体も大きく取り上げています。そうした情報関連は他サイトを参照して戴くこととして、当会ではより司法現場に的を絞った記事を今後構築していきたいと思います。長い前置きですが(笑)、ここから本題に移りたいと思います。
前回の記事では長野家庭裁判所松本支部の審判を取り上げましたが、この事件の東京高等裁判所での抗告審の結果が出ましたのでお知らせいたします。なお、この事件は当会全面支援による本人訴訟です。相手方は代理人弁護士がついています。
結論は相手方請求の子の引渡仮処分(保全処分)は原審取り消しのうえ却下、子の引渡処分(本案)も同時に原審取り消しのうえ差し戻しになりました。抗告人(ご本人)の主張を全面的に認めたうえでのほぼ完全な勝訴です。
引渡本案については、まだ差し戻し審があるので終わったわけではありませんが、これは原審が“子の意思聴取”や事実関係の調査を怠ったことによる審理不尽、手続き上の問題があるので、差し戻しになることは妥当な決定と認めることができます。
総体的に見て、とても良い決定だと思います。
以下、取りあえず決定主文及び理由1のみ掲載し次回以降で順を追って原審での主張、一審審判から公開していきたいと思います。
東京高等裁判所平成23年(ラ)第140号子の引渡仮処分審判に対する抗告事件(原審・長野家庭裁判所松本支部平成22年(家ロ)第215号)平成23年5月6日決定
相 手 方 花子氏(母)
上記代理人弁護士 ○○○○
未 成 年 者 イチロー君
1 原審判を取り消す。
2 相手方の本件申立を却下する。
1 抗告の趣旨及び理由
本件抗告の趣旨は、主文同旨の裁判を求めるものであり、抗告の理由は、別紙「即時抗告理由書」記載のとおりである。
東京高等裁判所平成23年(ラ)第139号子の引渡審判に対する抗告事件(原審・長野家庭裁判所松本支部平成22年(家)第469号)平成23年5月6日決定
相 手 方 花子氏(母)
上記代理人弁護士 ○○○○
未 成 年 者 イチロー君
1 原審判を取り消す。
2 本件を長野家庭裁判所に差し戻す。
1 抗告の趣旨及び理由
本件抗告の趣旨は、「原審判を取り消す。相手方の本件申立を棄却する。」との裁判を求めるものであり、抗告の理由は、別紙「即時抗告理由書」記載のとおりである。
以上が子の引渡仮処分審判に対する抗告事件(保全処分)と、子の引渡審判に対する抗告事件(本案抗告事件)の決定主文です。両事件の決定は同時に出されました。詳細な決定理由は、原審判公開後に公開致します。
なお、この他にもご本人は親権者変更を申立していますが、こちらは長野家庭裁判所松本支部が東京家庭裁判所に移送したため、それを不服として現在、東京高等裁判所に抗告中です。
次回は一審での花子氏(仮名)の主張要旨及び田中氏(仮名)の主な主張を公開します。