時事通信:キャンベル国務次官補、日本の進展がなければ法的手段も辞さない構え。北朝鮮拉致問題を挙げ子連れ去り問題進展を要求

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011090400117

子連れ去り問題で関係悪化も=日本の「認識不足」に懸念-米国務次官補が単独会見

【ワシントン時事】キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は4日までに時事通信と単独会見し、国際結婚の破綻に絡む子の連れ去り問題について「日米関係の主要課題になっている」と表明、「日本で問題が広く認識されていない」と懸念を示すとともに、早期に進展がなければ、両国関係悪化につながる恐れがあると警告した。

米政府は、日本人の親が米国籍を持つ子を配偶者に無断で日本に連れ帰るケースが相次いでいることを重大視。事件解決の手続きを定めたハーグ条約への早期加盟を迫ってきた。日本政府は5月に条約加盟の方針を決めたが、これまでのケースへの対応では進展がない。
同次官補は、バイデン副大統領が8月の訪日時に菅直人首相(当時)との会談で、事態の緊急性を指摘したことを明らかにした上で、野田新政権とも「最も高いレベルで協議を行う」と述べ、首脳級で日本に対応を求めていく方針を示した。
また、米政府が北朝鮮拉致問題で日本を支持してきたことに触れ、「状況は非常に異なるが、最愛の人が家族から引き離された点は共通する」との見方を示し、「人間的視点」で責任ある検討を行うよう訴えた。
さらに「強固な日米同盟が両国にとって最善の利益」とした上で、米議会内で対日圧力強化の動きが出ていると警告。これまでのケースへの対応で進展がなければ「他の法的手段を検討する用意がある」と強硬措置も辞さない構えを示した。
日本国内ではハーグ条約に加盟した場合、配偶者暴力(DV)を逃れて帰国した女性が、子供を連れて元夫の国に戻らざるを得なくなることから、加盟には依然反対意見が根強い。このため条約批准に向けて整備中の国内法では、子の返還拒否事由にDVを明記することにしている。(2011/09/04-18:29)

 

キャンベル米国務次官補発言要旨

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011090400135

【ワシントン時事】キャンベル米国務次官補の会見での発言要旨は次の通り。
日本のハーグ条約批准の方針表明は喜ばしいが、条約の原則を損なうような国内法は望ましくない。条約加盟だけでなくこれまでの事例の解決に向けた日米協力が重要だ。中には何年も子供との連絡を絶たれている痛ましい例もあり、家族の苦悩は筆舌に尽くし難い。
米国はこの問題を良き同盟国として処理しようと努めてきた。クリントン国務長官は外相会談のたびに問題を提起し、バイデン副大統領も訪日時の菅直人首相(当時)との会談で、親たちの苦悩に対処することが急務だと指摘した。
日本では問題が広く認識されておらず、啓発努力が必要だ。これは日本国内の離別家族にも関係する。(離婚後の親権は通常母親が持つ慣習があり)重要な法律問題をあいまいにしがちな文化的規範が存在する。条約加盟に際して注意深い検討が求められる。
人間的視点で見てほしい。米国は北朝鮮拉致問題を理解してほしいとの訴えに応じた。状況は非常に異なるが、最愛の人が家族から引き離され、面会や連絡が不可能になる点では共通する。東日本大震災や拉致問題など日本の友人に深刻な問題が起きたとき、米国は格段の支援に努めた。
日本政府にこれまでの事例への責任ある検討を求める。問題が長期化すれば、日本が米国人の子の福祉に関わる重要課題に対処していないと認識される恐れは高まる。
日本の政府や国会には、条約加盟や事件対応に反対するグループがあるが、大半は誤解や知識不足に基づく。配偶者暴力(DV)の主張は大抵、根拠なく使われている。子を失った上に虐待者扱いされるのは非常に痛ましい。
強固な日米同盟が両国にとって最善の利益であり、両国を分断する問題は望まない。米議会で公聴会が開かれたり、日米関係を損ないかねない請願や法案が出されたりしているのは警告のサインだ。行動すべき時が来ている。
進展がなければ、米政府は他の法的手段を検討する用意がある。日本の新政権と近くハイレベルで協議を行うが、この問題も俎上(そじょう)に上る。国務長官と副大統領が問題提起したことが事の重大性を示しており、その重大性は高まる一方だ。この問題は日米関係の主要課題になっている。(2011/09/04-18:04)

 

 

13年前