産経:「ハーグ条約」法制審議 子供の返還拒否規定が焦点

この記事の中で登場するオーストラリアから子どもを
連れてきた母親ですが、
「親子で首をつる」というのはちょっと
ありえないコメントだと思います。
こういった親どうしの争いで子どもが殺されるなら
国が子どもを保護するのが先だと思います。

報道の姿勢として極めて疑問です。

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「ハーグ条約」法制審議 子供の返還拒否規定が焦点

産経新聞 7月13日(水)7時57分配信

国際結婚が破綻した夫婦間の親権ルールを定めた「ハーグ条約」。政府の加盟方針を受け、13日から国内法整備の議論が始まるが、加盟に賛否両論が起きている。正式に子供の返還を要求できるようになる一方、ドメスティックバイオレンス(DV)から逃れた帰国でも子供が連れ戻される心配があるからだ。条約上、連れ戻しを拒否できるハードルは高く、DV被害者を守るため、国内法でどこまで拒否規定を盛り込めるかがポイントになる。(上塚真由)

「国際結婚のトラブルは裁判で片を付けてから帰国しろというけど、そんな甘いものではない」。オーストラリア人の元夫との親権問題に悩む40代の女性はこう話す。

十数年前にオーストラリアで元夫と結婚。元夫は借金を抱え、暴力をふるうようになり、1歳だった子供を連れて別居し、子供が小学生のころに帰国した。

その後、離婚が成立したが、元夫は現地で子供の親権を求めて提訴。女性は子供を連れて現地に渡り、裁判に臨んだ。女性が単独親権を勝ち取っても元夫が訴訟を起こす-が1年間繰り返され、費用は1千万円にものぼった。

単独親権を勝ち取り、裁判中は出国停止だった子供の措置が一時解けたので一緒に帰国。すると、現地の弁護士から、元夫の単独親権が認められたという連絡を受けた。子供の引き渡し命令に応じないと、女性に誘拐の逮捕状が出された。

子供を元の居住地に戻して親権問題を決着させるのがハーグ条約の原則だ。加盟していない日本は対象外で、女性は日本で子供と生活している。しかし、加盟すれば、返還交渉に応じる必要性が出てくる。

「いきなり“誘拐犯”にされた。これで子供を返還しろといわれたら、親子で首をつるしかない」。女性の訴えは痛切だ。

外務省によると、外国政府から指摘された日本人による連れ去り事例は約200件。日本人女性が子供を連れて無断で帰国するケースが相次ぎ、欧米各国から加盟を求められていた。

加盟については否定的な意見ばかりではない。外国籍の親が出身国へ子供を連れ帰ってしまった日本人の親にとっては、正式な国際ルートで子供の返還を要求できる手段ができる。

国外への連れ去り問題を多く扱う弁護士は「外国籍の夫は、日本で離婚すると自分の親権が認められず、子供と面会できなくなると考える。そういう事態を避けるため、連れ去りに至るケースがみられる」という。

ハーグ条約に詳しい弁護士の大谷美紀子さんは「これまで家庭内のことは個人の問題として片付けられてきたが、親権問題の解決には国家間の協力が不可欠だ」と加盟の意義を話す。

ただ、DVや虐待から逃げて帰国した母親の間には懸念が強い。

条約には「子に身体的、精神的な危害を及ぼし、または子を耐え難い状態に置くこととなる重大な危険がある」場合、返還を拒否できると規定されるが、母親には言及していない。

このため13日から始まる法制審議会では、母親へのDVが条約の返還拒否規定に当てはまるよう国内法を整備する見通しだ。法務省幹部は「母親への暴力が子供の耐え難い状態につながれば拒否規定に当てはまる。国内法で具体的な暴力の内容を明記すれば、DV被害者を守れる」と話す。

ただ、海外でのDVの証拠集めは難しい。「規制しすぎて返還が少ないと、何のための加盟か批判されそう」(別の幹部)との声も出ている。

【用語解説】ハーグ条約

正式名称は「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」。国際結婚が破綻し、一方の親が無断で国外へ連れ去った子供(16歳未満)を、元の居住国に戻したうえで親権争いを決着させる手続きを定めたもの。政府は5月、加盟方針を閣議了解。裁判手続きなど国内法の整備を進め、遅くとも来年の通常国会への法案提出を目指す。

13年前