【ワシントン=佐々木類】昨年の鳩山政権から菅政権への移行で好転の兆しが見え始めた日米関係が一転、悪化の一途をたどっている。解決の道筋が見えない米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に加え、「思いやり予算」といわれていた在日米軍駐留経費の日本側負担(ホスト・ネーション・サポート=HNS)問題、さらには日米間の「子供の親権問題」で米側が日本への不信感を強めているからだ。日本が置かれた立場は“3重苦”状態だ。
■ハーグ条約
日米間で新たな焦点となってきたのが、米国人男性と日本人女性による国際結婚の破綻で子供を日本人女性が日本に連れ帰った問題だ。
この問題で政府、連邦議会、大手メディアが“三位一体”となって日本政府に強く求めているのが、ハーグ条約への加盟。条約は、国家間の不法な子供の連れ去りを防止することが目的で、親権を持つ親から子供を連れ去った場合、子供がいた場所へ戻すことを加盟国に義務付けさせる。
「非常に心が痛む問題で深く懸念している。オバマ政権の最重要課題だ」
クリントン米国務長官は1日、子供の親権に関して下院外交委員会公聴会でこう述べるとともに、児童問題担当特別顧問を国務省に新設したと語った。
日本側は、民法改正が必要とし、「真剣に検討を進めている」(前原誠司外相)段階。米側は3大ネット「ABC」など官民挙げて、北朝鮮による日本人拉致と同様に非難している。
米議会は昨年9月、対日非難決議を採択。キャンベル国務次官補も外務省幹部に「北朝鮮の拉致問題で米政府の対日支援に悪影響を及ぼす」と警告した。
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