2月9日、11カ国大使館らによる国際的な親による子の奪取に関する共同声明

オーストラリア、カナダ、コロンビア、欧州連合(EU)、フランス、ハンガリー、イタリア、ニュージーランド、スペイン、英国、および米国の各国駐日大使および代表による

国際的な親による子の奪取に関する共同声明

2011/02/09

カナダ、欧州連合(EU)、フランス、ハンガリー、イタリア、ニュージーランド、スペイン、英国、および米国の各国駐日大使、在日オーストラリア大使館参事官、在日コロンビア大使館領事は本日、日本の外務大臣政務官を訪問し、私たちが継続的に取り組んでいる国際的な親による子の奪取の問題の重要性を表明した上で、日本が「1980年国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」を批准するよう重ねて要望した。

私たちは、日本政府が現在この問題に真剣に取り組み、検討のために副大臣レベルの会議を設置するなどの対応を取っていることに勇気づけられている。日本が、可能な限り早期にハーグ条約に批准する、という前向きな決定を下すことを希望する。

ハーグ条約は、関係する者すべてにとって悲劇となり得る、国境を越えた不法な連れ去り、または留め置きの悪影響から子供たちを守ることを目的としている。さらに同条約は、子供が不法に連れ去られた、あるいは留め置かれた時点で常居所があった国に、子供を速やかに戻す手続きを規定し、いずれの親に対しても子供と面会する権利の保護を保証している。しかし同条約は、常居所があった国に戻せば子供が身体的あるいは精神的な危害を受ける、または耐え難い状況に置かれる危険性が高いことが証明された場合には、子供を常居所があった国に戻すよう命令することを加盟国に義務付けてはいない。

現在までに、本日共同で申し入れをおこなった11カ国、および欧州連合に加盟する27カ国すべてを含む84カ国がハーグ条約に加盟している。さらに、欧州法にはハーグ条約で定められる原則が正式に記載されている。昨年だけでもモロッコ、ガボン、シンガポールの3カ国が新たに加盟したハーグ条約は、国境を越えた子の奪取を取り扱う上での世界標準となりつつある。日本は、G7の中で唯一、ハーグ条約に加盟していない。現在、日本へ、あるいは日本から子供を連れ去られた親には子供を連れ戻す望みがほとんどなく、子供と面会し、親としての権利を行使し、責任を担うことが非常に難しくなっている。

山花外務大臣政務官との会談において、私たちは、自国の政府が国際結婚の破綻により影響を受けている子供たちの福祉を最優先としていることを重ねて説明し、子供はどちらの親とも接触を保ちながら成長すべきであると強調した。外務省が最近インターネット上で実施した調査で、子が外国に奪取されたために、日本人の親とその子供が連絡を取れなくなっている事例が多数存在することが明らかになった。このことから私たちは、日本によるハーグ条約の批准は日本人に、他国の人々が得ているのと同様の利益をもたらすと指摘した。さらに、私たちは日本に対し、子供と引き離された親が、子供と接触を保ち、子供への訪問を可能にする措置を示して実施し、現在存在する子の奪取の事例解決に向けた枠組みを構築するよう求めた。また、ハーグ条約には子供が他国で虐待されたり脅威を感じたりする状況に戻されることを防止する規定があり、加盟国の法体系には家庭内暴力から子供を守る規定があることを強調した。

日本は、私たちすべての国にとって、活発な政治・経済関係から国際結婚に象徴される人と人とのつながりまで、非常に多くの面で重要なパートナーである。私たちの国の政府は今後も、日本がこの痛ましい問題により影響を受けている親と子を救うという観点から、ハーグ条約への批准を検討することを支援していく。

14年前