国際「親権」問題 ハーグ条約の加盟作業を急げ(1月28日付・読売社説)
国際結婚の増加に伴って、離婚した元夫婦の間で子どもの親権を巡り
トラブルとなるケースが増えている。
その解決のため、国際条約への加盟を議論する
政府の関係省庁副大臣級会議が新設された。
詰めの議論を急ぐ必要があろう。
「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」は、
国際結婚した夫婦が離婚し、片方の親の同意なしに子どもを国外に連れ去った場合、
子どもを元の居住国に戻すことを原則としている。
加盟国には、子どもの発見や元の居住国への返還などの
行政協力が義務づけられる。欧米や中南米諸国を中心に82か国が加盟しているが、
日本は未加盟だ。
このため条約加盟国との間で、
離婚した日本人の元妻が子どもと一緒に帰国してしまい、
外国人の元夫から訴えられるトラブルが生じている。
そうした事例は米国だけで100件近くあるという。
今年に入り、クリントン米国務長官が前原外相に早期加盟を要請した。
フランス上院も今週、同じ趣旨の決議を採択した。
政府には外交摩擦をこれ以上深めるわけにいかない、との声が強い。
条約自体は「親権などの争いは元の居住国の法律に従って解決を図るべきだ」
との考えに基づくもので、日本だけが不利益を被る枠組みではない。
加盟すれば、日本から連れ去られた子どもの返還を政府が求めることも
可能だ。
国際結婚する日本人は近年、年間平均4万人にのぼる。
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