親権、相続・・・・「子どもの幸せ」の視点から 「別れた父親は何も助けなかったのか

親権、相続・・・・「子どもの幸せ」の視点から
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20101231-OYT8T00693.htm

日仏の民法に詳しい松川正毅・大阪大大学院高等司法研究科教授(民法)(58)に親子関係をめぐる法的な問題について聞いた。

 日本では、離婚すると民法で1人だけが親権者になり、もう一方の親は離れ離れになるというイメージがある。一方、フランスを含めヨーロッパ諸国では、親の生き方による影響を最小限にし、子どもを幸せにするという視点から、離婚後も親子が共同で親権を持つのが原則。大阪市西区のマンションで昨年、幼い姉弟が放置されて死亡した事件では、フランス人研究者から、「別れた父親は何も助けなかったのか」と、疑問の声が聞かれた。

 また、日本の民法は、婚外子の「非嫡出子」と、夫婦の間の「嫡出子」の差を規定してきた。家制度などの名残だが、相続の際の格差が大きい。子どもには何ら責任がなく、子どもの最善の利益を考慮することを求める国際条約に反する。フランスでは、この10年で民法を改正し、嫡出子と非嫡出子の相続の差をなくした。

 日本では、地域社会が崩壊し、子どもを家庭で抱え込む社会になってしまっている。高齢者らが子どもを遊ばせ、虐待の相談にも乗るグループが多くあるフランスのような、社会全体で子育てをする仕組みが必要だ。子どもの権利をどう擁護し、どうすれば幸せにできるかを社会全体で考えなければならない。

(2011年1月1日 読売新聞)

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