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10/18(金) 21:44配信
読売新聞オンライン
27日の衆院選投開票と同時に行われる国民審査は、最高裁の裁判官を信任するか有権者が判断する重要な機会だ。わかりやすい裁判の実現や家族を巡る問題の解決、女性裁判官の登用など、司法が直面する課題は多い。報道各社によるアンケートから審査対象の6人の裁判官の姿勢や考え方を探った。
最高裁
■身近な司法
15人の最高裁裁判官のうち、審査を受けるのは、前回衆院選以降に任命された尾島明(66)、宮川美津子(64)、今崎幸彦(66)、平木正洋(63)、石兼公博(66)、中村慎(63)の6氏だ(告示順、年齢は投票日現在)。
最高裁は、地裁、高裁を経た裁判の最終的な司法の判断を示す。社会に与える影響は大きく、難しい裁判の内容をいかにわかりやすく知らせるかが課題となっている。
「国民に身近な司法となるために取り組んできたことは」との質問に対し、裁判官出身で、今年8月に長官に就いた今崎氏は「できるだけ自分の思いを伝えられるよう、判決文や決定文では表現を工夫してきた」と回答した。
同じく裁判官出身の尾島氏は、弁論の活性化の重要性を強調した上で、「法廷で当事者とできる限り深みのある対話を行うよう努めている」とした。
■家族問題への対処
離婚後も父母の双方が子どもの親権を持てる「共同親権」の導入を柱とした改正民法が、2026年度までに施行される。共同親権とすべきか、単独親権とすべきか、子どもの人生にも関わり、その見極めを担う家裁の責任は重い。
家裁に求められる姿勢について、行政官出身で元国連大使の石兼氏は「関係者の意見や考え方に真摯(しんし)に耳を傾けながら、何が子どもにとって最適の選択肢となるか、社会情勢や価値観の変化も踏まえつつ粘り強く探っていくことが必要だ」と記した。
裁判官出身の平木氏は「裁判官や調停委員、家裁調査官といった様々な職種の職員が意見交換し、適切に連携していくことも検討していると認識している」と述べた。
■女性裁判官
日本弁護士連合会では今年4月、渕上玲子氏(70)が会長となり、検察でも7月、畝本直美氏(62)が検事総長に就いた。一方、最高裁裁判官15人のうち女性は、弁護士出身の宮川氏ら3人のみで、裁判官出身者の女性裁判官はまだいない。
この現状について尋ねると、最高裁裁判官は内閣が任命(長官は内閣の指名に基づき天皇が任命)することを理由に6人全員が「意見を控える」などとした。
ただ、宮川氏は「男女共同参画は社会の重要な課題で法曹界も例外ではない。裁判所が複数の視点から事案を検討して判断するためには、女性判事の存在は意義がある」と言及した。
裁判官出身の中村氏も「様々なバックグラウンドを有する裁判官同士で自由闊達(かったつ)に議論することが、事案を複層的な視点から検討することにつながる」との見解を付け加えた。