増えるシングルマザーの子連れ再婚。ステップファミリー増加で共同親権の役割は?

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植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
5/1(水) 22:43
(写真:つのだよしお/アフロ)

◆平井理央さん、再婚についての考えを明かす

元フジテレビアナウンサーの平井理央さんが、雑誌『STORY』(光文社)のインタビューで再婚についての考えを明かし、話題になりました。29歳で結婚し現在は41歳、6歳の娘さんを育てるシングルマザーです。2013年からフリーで活動し、両親や姉妹で協力し、働きながら娘さん第一で子育てをしていることを明かしています。

記事の中で平井さんは、「離婚直後は恋愛なんてどうでもいい」と思っていたものの、「娘も娘の人生をこれから歩んでいくんだから、自分の幸せは自分で」と考えるようになり、占い師に「再婚は45歳」「自分の幸せもちゃんと考えて」と言われたことを思い出した……と語っていらっしゃいましたが、まさにそうです。

◆再婚しないと決めすぎなくていい。第二の結婚適齢期へ

子どもはずっと小さいままではありません。お子さんが高校生・大学生になったら、ふと肩の荷がおりて、自分の人生をパートナーと生きていきたいと思い婚活をする方は少なくありません。

再婚は「相手を見る目が厳しくなる」と言いますが、厳しいというよりも現実的に、判断基準が明確になります。過去の相手との結婚生活で「ここがかみ合わなかった」と自覚できるからです。恋愛脳の好き嫌いではなく、結婚の本質は生活であると分かっているので着眼点が違います。

お子さんがいる場合は、まず子供との相性や、子供にふさわしいか? 子供と自分の幸せにとって、どんな相手が必要か? そして、パートナーシップの面でも、自分は妻としてどうありたいか、夫はどうあってほしいか? ということを考えるようになります。

実際、お子さんがいて再婚希望の会員様を5人ほど担当していますが、みなさん冷静で、現実が見えています。「自分のWANTばかりにならず、相手に何をGIVEできるか?」という謙虚で客観的な気持ちを持てる方もいて、結果、本質的に合う人を見つけられます。また苗字の問題で「小学校入学前までに再婚したい」と考えるなど、タイミングを絞って照準を合わせることも多いので、スピード感も早いのです。

そういった意味で、決して再婚をするかしないかを焦って決める必要はなく、自然と自分の幸せに伴走してくれるようなパートナーが欲しいと思ったら、その時が第二の結婚適齢期です。

◆働く母は、ひとりで抱え込まず支援をしてもらう覚悟を

平井さんの、離婚後に働きながらお子さん第一の子育てをしていらっしゃる点はもちろん素晴らしいですが、親やきょうだいに協力してもらっていることを明かしている点こそ、働く女性のお手本になると思います。お姉さんのお子さんと同じ学校で同じクラス、幼稚園時代からお互い交互に送迎をして助け合ってきたのだそうです。

離婚を我慢するのも、子育てを自分一人で全部抱えこむのも、いずれ歪みがくるもの。また周りに協力してもらうことは、シングルでなくても、ワーキングマザーのみなさんにとって大事なことです。

当社で成婚された方の中にも、産後に夫が単身赴任となり育児を2人で出来なくなったと近況を知らせてくれた方がいます。でもその女性もなるべく早くフルタイムで働きたいということで、親やきょうだいに手助けをしてもらうことを決め、生後半年からフルタイムで働いたそうです。妹さんが専業主婦で2人のお子さんがいるので、子どもを一緒に見てくれることになり、週3日は妹、2日は母、あと2日は自分で……と分業したのです。

他の経営者の女性は、子どもが幼児から小学校低学年の頃は両方の両親やベビーシッターに預けていました。中高生になると、子どもは自分で放課後に父親が経営するクリニックに行き院長室で勉強をし、空き時間には家庭教師として勉強を見てもらっていたそうです。

このように周りに協力してもらうことはワーキングマザーにとって重要なことですが、さらに離婚したほうが幸せ、離婚したほうが自分らしく居られると思うなら、子どもを幸せにするために、頼み込んででも周りに支援をしてもらう覚悟を決めましょう。協力を得る方法を考えるのが自分の責務。それをマイナスに捉えなくていいのです。

離婚するとなると、どうしても順序立てて準備して、人に頼る覚悟が必要になります。まずは子育ての実務をどうするか。両親やきょうだい、親戚、友達、ママ友に頼めるか。自治体のサポート、学童・保育園は使えるか。それによって、仕事はどれくらいでき、どれくらいの収入が得られるのか? 1つずつ準備を進めていきましょう。

◆子連れ再婚・ステップファミリーが増加…共同親権で、男女平等は進むか?

40代のシングルマザーの再婚率は10.2%(男女共同参画白書 令和4年版による)ですが、年々増加傾向にあります。妻が夫に食べさせてもらう家庭のスタイルは終わったのですから、一方的に我慢をする時代は終わりです。再婚・離婚も増えているわけだから、離婚をバツと言って叩く方がおかしい時代になってきています。

これからの時代、離婚・再婚が増え、ステップファミリーが増えて来ます。ステップファミリーとは、夫婦の一方あるいは双方が、子連れ再婚した家族のこと。それが当たり前になれば、「今週はパパ(実父)の家、来週は我が家にパパの家族が来るよ」という交流が増え、核家族で一人っ子であっても、みんなで子育てをする多様な家族、小さな社会ができるでしょう。

今ちょうど、共同親権が話題になっています。離婚の際に父母が協議し、共同親権か単独親権かを選べるようになる改正案で、2026年までに施行される見込みです。

私自身は、女性の負担を軽減し男性に子育ての責任感を持ってもらうために、共同親権にはメリットがあると思っています。現在、80%は女性が子供を引き取り育てていて、シングルマザー家庭の貧困にも繋がっています。そもそもまだ女性の収入が低く、離婚後も働き方が制限されてしまうのは、不条理です。共同親権導入により、産まれた子供を、離婚しても何があっても父母双方で大事に育てていく社会になるならば賛成したいと考えます。

養育費支払いの義務化や、DV・虐待に対する対策や法整備、その他、問題はたくさんあると思いますが、社会は時代に併せて変わっていくしかありません。何があっても父母が共に育てることが当たり前になれば、男性育業も進むでしょう。

女性差別で女性は親権を持てない国もありますが、日本は先進国で、女性の社会進出を進めているのですから、もっと男性も責任を持つべきです。「離婚したら自動的に奥さんが引き取り、男性は毎月数万円程度を送るだけ」……では、女性の負担が大きすぎます。男性に責任を感じさせない制度、あまりにも加担させない制度に偏っているように感じます。もちろん、離婚がお父さんから子供を奪う手段になってしまうのもいただけません。

離婚する父母は感情的になり対立しているケースも多く、父母の話し合いが進まないという問題点も挙げられています。ただ、離婚前に共同親権について話し合うことで、親都合だけで決めた衝動的な離婚を減らせるという考え方もあります。

おそらく定着するのに30年以上かかると思いますし、問題点もたくさん出てくるでしょう。でも今は、社会が変わり、社会が成長するとき。女性の貧困を減らし、男性の育児参加を促す方向に進むことを願っています。

◆子連れ離婚への受容もセットで

最後に一つお伝えしておきたいのが、シングルマザー・ファザーや、子連れ離婚への受容についてです。

例えば、現在はシングルファザーの数が少ないため、婚活女性の中には「離婚歴や子どもがいてもいいけれど、他人の子に養育費を取られるのは嫌」という人がいます。

「年収1000万円で養育費数万しか払っていないらしいのでラッキー」「離婚したんだから元の奥さんが全部やればいいでしょ」「子どもがいるのはいいけど、養育費はなんとかならないんですか?」という自分本位な考えを聞くと、悲しくなってきます。本来は、しっかり養育費を払って、離婚しても責任を持って子供を育て大切にしている人と人生を共にした方がいいはずです。そうであれば、再婚相手の事情も、ぜひ受容していただきたいと思います。

7か月前