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4/1(月) 11:03配信
福祉新聞
外務省
国際結婚が破綻した夫婦の一方が、こどもを国外に連れ去った場合、元の居住国にいったん戻すことを原則とした「ハーグ条約」について、外務省は3月22日、「同条約の仕組みと親権のあり方は別の問題」と表明した。
離婚後の父母が共同親権を選べるよう定めた民法改正案が今国会に提出されたことに関連し、同日の参議院外交防衛委員会で岩本桂一外務省領事局長が福山哲郎氏(立憲民主党)に答弁した。
離婚後の共同親権導入が必要な理由として、日本が同条約を批准していることを挙げる議論が法務省の審議会でもあったが、外務省はそうした議論の立て方を否定した形だ。
日本では同条約が2014年4月に発効。20年7月、欧州議会は日本に対し、ハーグ条約を順守していないとして改善を求める決議を採択した。日本政府はこの決議に対し、「事実誤認がある」などと反論してきた。
日本では現在、離婚後は父母の一方が未成年のこどもの親権を持つ「単独親権」の仕組みだ。共同親権にすれば不当な連れ去りを防げるとする見方がある一方、元配偶者による暴力から逃れることが困難になるとする懸念もある。
■同居親の養育不安で共同親権あり得る
民法改正案によると父母が合意しない場合でも家庭裁判所が共同親権の導入を決めるケースもあるだけに、今後の連れ去り問題の行方を左右する。
改正法案は父母の一方がこどもに虐待する恐れがある場合、父母の間で暴力がある場合、家裁は単独親権にするというが、その反対に、どのような場合に共同親権を認めるかは判然としない。
この点について竹内努法務省民事局長は22日、「同居親とこどもの関係が良好でない、あるいは同居親のこどもの養育に不安がある場合などは、父母の協議が整わなくても父母双方を親権者とすることが必要なケースがあり得る」とした。
同日の参議院法務委員会で仁比聡平氏(日本共産党)に答弁した。改正法案の要綱に賛成した審議会委員からもこの点の議論が不十分だったとする指摘があることについて、小泉龍司法務大臣は「すべての意見がここに盛り込まれたわけではない。完璧ではないが法務省としてはベストを尽くした」と答えた。