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3/25(月) 13:45配信
北海道新聞
記者会見で、離婚後共同親権に反対の意見を述べる札幌弁護士会の清水智会長(左端)ら=3月11日、札幌市内
離婚後も父母双方が子どもの親権を持つ「共同親権」の導入について、札幌弁護士会(清水智会長)がドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の被害者が危険にさらされるとして反対している。同会によると、弁護士会単位で反対の意思を示すのは全国でも珍しい。導入に賛成の意見も少なくない中、同会はDV被害者を守る団体と共同声明を発表するなど法改正を阻止しようと力を入れている。
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「父親と離れ、安全な生活を始めようとしているにもかかわらず、離婚前と変わらない支配が続くと思うと絶望しかない」。今月11日、札幌弁護士会がDV被害者支援のNPO法人などと行った記者会見。父親からDVを受けていたという男子高校生が出席し、自身の経験を語りながら共同親権に反対した。
男子高校生は小学生のころ、父から日常的に怒鳴られた。胸ぐらをつかまれてリビングを引きずり回される母の姿を見て育った。両親の離婚調停中に父に連れ去られたこともあり、共同親権が導入されれば、また父が戻ってくるのではと不安視する。
政府は今月8日、共同親権導入を盛り込んだ民法改正案を閣議決定し、国会に提出した。小泉龍司法相は同日の記者会見で「社会的ニーズを踏まえ、子どもの利益を中心に組み立てた法案だ」と強調した。
共同親権の場合、進学や子の病気の長期的治療といった重要事項は父母双方で決定する。施行前に離婚した父母も単独から共同に変更する申し立てができる。父母による親権の協議がうまくいかない場合は家裁が判断することになる。
家裁は虐待やDVの恐れがある場合などは共同親権を認めないが、「虐待・DVは密室で起きることが多く、家裁が見逃す可能性がある」との指摘もある。
政府の一連の動きを受け、札幌弁護士会は反対活動を加速。導入の推進派は「現行制度では非親権者が子どもと面会交流できる回数が少なく、親権を持てなかった親は子育てから阻害されてしまう」などと主張するが、同会は「現状でも家裁に申し立てれば面会はできるし、共同での養育も可能だ」と反論する。