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1/30(火) 21:00配信
毎日新聞
法制審議会の部会終了後に記者会見する赤石千衣子さん(右)と、お茶の水女子大学の戒能民江・名誉教授=東京都千代田区で2024年1月30日午後6時40分、飯田憲撮影
2年10カ月の審議を経て法制審議会の部会は30日、離婚後の共同親権の導入に向けた民法改正要綱案を取りまとめた。当事者団体を代表して法改正の議論に加わった部会の委員は会合終了後に取材に応じ、離婚後の共同親権に賛成、反対の立場から、要綱案にそれぞれ注文を付けた。
【現行の単独親権と離婚後共同親権、何がどう違う?】
「子の養育に親が責任を持つ仕組みが導入されることは評価できる」。部会委員の武田典久さんは、要綱案の意義をそう語った。
武田さんは別居親らでつくる団体の代表を務める。会員の中には子の養育に関わりたいと願いながら何年も会えておらず、離婚後の共同親権に期待している当事者も多いという。
離婚後の共同親権を支持する立場から要綱案に賛成した武田さん。ただ、「離婚前講座」の受講や、子の養育の取り決めをすることを協議離婚の条件とする案が要綱案に採用されなかったことを挙げ、「要望が全て反映されたわけではない」と強調。「引き続き議論を注視し、最後まで要望を届ける」と述べた。
一方、いずれも部会委員で、ひとり親家庭を支援する団体の理事長の赤石千衣子さんと、お茶の水女子大学の戒能民江名誉教授は東京都内で記者会見を開き、「民法改正がどんな影響を与えるのか、検討が十分ではない」として要綱案に反対したことを明らかにした。
離婚後共同親権が導入されると、家庭内暴力(DV)や児童虐待が離婚後も続くとの懸念が示されている。赤石さんは「今の枠組みでDV被害者を守れるか分からない」と指摘した。
要綱案では、離婚後の共同親権が望ましくないケースを家裁がチェックする仕組みが提言されている。戒能教授は「(家裁で)公正に判断されているか疑わしいという事情がさらに増える」と懸念を示した。【飯田憲】