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毎日新聞2024/1/30 17:23(最終更新 1/30 17:23)有料記事1540文字
離婚後の共同親権導入を盛り込んだ民法改正の要綱案に対し「子どもを中心に考える制度になってほしい」と話す築城由佳さん(右)=大阪市で2024年1月17日、飯田憲撮影
離婚後の共同親権導入を柱とする民法改正の要綱案が30日、法制審議会の部会でまとまった。「子の利益」の視点から、家族法制の大幅な見直しを提言する内容となった。根強い反対意見もある中、離婚後の家族の形は変わるのか。【飯田憲】
親権は未成年の子を育てる上で、親が持つ権利と義務を指す。その範囲は子の身の回りの世話(監護)や教育の実施をはじめとして、住む場所の指定や職業許可、子の財産管理――と広範だ。離婚後の共同親権が導入された民法改正案が成立すれば一定期間を置いて施行され、施行後に離婚する父母、既に離婚した父母も共同親権が可能となる。
要綱案は、離婚後の共同親権が子の利益にかなうケースを想定して制度設計されている。共同親権は父母の共同行使が原則。離婚後の共同親権では、子の人生を左右するような重要な決定に父母双方が関わることになるとみられる。
一方で、離婚した父母は通常、別々に暮らす。親権を常に共同で行使するのは現実的でないため、要綱案は共同親権下でも、子の日常に関する決定は父母のいずれかが単独で決められるとした。また、入学手続きや緊急の医療行為のように、一定の期限までに親権行使が不可欠である場面で父母の意見が割れた場合も「子の利益のため急迫の事情がある」とみなし、単独で親権を行使できる仕組みを設けた。
法務省幹部は「離婚後も親子の円滑な関係を保ちたいと考える父母にはニーズがある」とみるが、離婚時の葛藤を引きずり、互いを非難しあうような父母の下では共同親権は機能しない可能性が大きい。
「夫婦が終わっても親の責任は続く」。別居親と子の交流支援に取り組むNPO法人「ハッピーシェアリング」(大阪市)の代表理事、築城(ついき)由佳さん(45)は離婚した父母双方に子の養育に関わってほしいと願う一人だ。
築城さん自身、小学生の長女と暮らすシングルマザー。離婚したのは2014年で長女は当時1歳だった。元夫と長女は離婚調停中から月に1回は会っていた。「私が一人で育てているのに、…