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1/26(金) 14:00配信
福祉新聞
会見する熊上教授(右)
離婚後の未成年のこどもの養育に父母双方の「共同親権」導入が検討されていることをめぐり、それを懸念する弁護士らが16日、司法記者クラブで会見を開いた。家庭裁判所元調査官の熊上崇・和光大教授(心理学)は共同親権が導入された場合、こどもが保育所に入るにも父母のハンコ(合意)が必要になるとした。
離婚後も父母が協力して子育てできる関係であれば問題ないものの、協力関係が築けず意見が食い違う場合は「こどもの希望をふさぐ、こどもを支配する制度になる」と警鐘を鳴らした。
法務省は近く民法改正の要綱をまとめ、法改正に進む見通し。そこで熊上教授が代表を務める「離婚後共同親権から子どもを守る実行委員会」は未成年のこどもを受け入れる学校、病院、児童福祉施設にも大きな影響を及ぼすとみて、〝待った〟をかけた。
法務省が2023年12月に法制審議会の部会に示した民法改正の要綱案は、父母双方の協議で共同親権か単独親権かを決めるとした上で、合意できない場合は家庭裁判所が「子の利益」の観点で裁定するというもの。
父母の一方がこどもの心身に害悪を及ぼす恐れがある場合、父母の一方が他方から暴力や心身に有害な言動を受けるおそれのある場合は単独親権とすることとしている。
しかし、熊上教授ららは、家裁が心身の害悪や暴力の有無を判断するのは現実的でないとみている。
小学生のこどもと暮らし、5年間にわたり離婚調停中の女性(30代)は会見で「夫から受けた暴力を家裁に訴えても、全くとりあってもらえない」と話し、離婚した女性(40代)も「こどもは元夫と面会交流することが家裁で決められ、恐怖と不安から自傷行為に走った」と話した。
■190万人に影響
会見に同席した斉藤秀樹弁護士(横浜市)が厚生労働省の「人口動態統計」による離婚件数などから試算したところ、離婚した夫婦の未成年のこどもは現在約190万人。
法務省の要綱案は、すでに離婚した夫婦のこどもにも共同親権を適用できることとしており、斉藤弁護士は190万人に影響が及ぶ可能性のある制度改正だとみている。