<社説>共同親権の議論 子どもの幸せを第一に

共同通信のコピペ社説

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/947472/

2023年12月1日 05:00

 離婚後の子の養育を巡る検討が法制審議会の部会で続いている。

 現行の単独親権に加え、父母双方による共同親権を選択肢として新たに導入する大枠がこれまでに確認されている。父母が対立した場合は家庭裁判所が裁定する。

 共同親権については、家庭内暴力や児童虐待を受けた側に被害が続きかねないとの危惧がある。

 子どもの利益が害されるようであれば、家裁は単独親権を選ばねばならないと明示した修正案も示された。それでも懸念は強く、今後も審議は曲折が予想される。

 何より重視すべきは子どもにとって望ましく、安心安全な選択を確保することだろう。子どもの幸せを尊重する観点から、引き続き慎重に議論を重ねてもらいたい。

 親権は未成年の子の教育や財産管理などに関する親の権利であり義務でもある。離婚後、親権を失った別居親の多くが子との関係を断たれている実態がある。共同親権は別居親らが強く求めてきた。

 夫婦関係がなくなってもどちらも実の親だ。双方が愛情を持って養育に関わり続けるのは、子どもには本来望ましいことだ。共同親権が欧米で一般的なのは、こうした考え方も背景にある。

 養育費の不払いも多い中、導入によって支払う側に責任の自覚を促す効果も期待できるだろう。

 ただ共同親権がうまく機能するには、離婚後も父母の間に一定の信頼関係があるのが大前提だ。

 子どもへの虐待などが確認されているようなケースで選択するのは避けなければならない。

 部会で議論されているたたき台には、家裁が父母の協議の経過などを検討して親権者を変更できる仕組みも盛り込まれた。

 暴力や虐待には外からは見えにくい心理的な加害もある。父母や親子関係の状況を見極める家裁の役割が重要になる。体制の拡充や児童相談所など他の機関との連携が検討課題だろう。

 共同親権では子に関わる重要な事柄は父母の合意が必要となる。

 弁護士グループは子どもの進学先を決めたり手術が必要な場合などに父母が一致できず、混乱する恐れもあると指摘している。

 「急迫の事情」があれば単独で意思決定できるとしているが、その判断基準はまだ不明確だ。

 年20万組近くに上る離婚夫婦の6割に未成年の子がいる。議論の行方は子どもたちの人生に大きく影響する。与党には来年の通常国会での民法改正を求める声もあるが、詰めるべき課題はまだ多い。

12か月前