【速報】「一時保護継続は違法」母親が大阪府を訴えた裁判 一審に続き「大阪府に損害賠償の支払い命じる」 児童相談所が家庭裁判所の”忠告”を無視して一時保護を継続 「面会制限」も違法 大阪高裁

児童相談所の引き離し行為への違法判断です。

https://news.yahoo.co.jp/articles/691765a14f7ea5a4e8e1632610197ebc2f5ef4c9?source=sns&dv=pc&mid=other&date=20230831&ctg=loc&bt=tw_up

8/30(水) 13:28配信
関西テレビ

母親と長女(2022年取材)

生後1カ月の長女に対して、児童相談所が8カ月にわたって一時保護し続けたことや2カ月近く一度も面会させなかったことは違法だとして、母親が大阪府を訴えていた裁判で、8月30日、大阪高裁(黒野功久裁判長)は、一審と同じく児童相談所のいずれの対応も「違法だった」と認める判決を言い渡しました。さらに、大阪府に対して計132万円の損害賠償を命じました。
■母親の訴え「なぜここまでの親子分離が必要だったのか」

黒野功久裁判長

5年前、大阪府内の自宅にいた母親(30代)が生後1カ月後の長女を抱っこしながら片手で机上のグラスをつかみ娘に手を戻すときに 娘を落としてしまいました。

長女は、頭からフローリングに落ちてしまい、母親はすぐに119番通報。長女は病院へ運ばれ、頭の両側が骨折していて、入院することになりました。

事故から2日後に長女は児童相談所に一時保護されましたが、母親は毎日病院に通い、1日12時間の看病を続けていました。

しかし、入院から16日後、母親は児童相談所に 突然呼び出されて、次のように告げられました。

【児童相談所】
「鑑定の結果、1回の落下では2カ所の骨折は説明できないとの(鑑定の)速報が出たので、これからは面会できません。保護施設へ移ります」

この日を境に、約2カ月間、長女との面会が一度も認めてもらえず、居場所すら教えてもらえませんでした。

さらに、児童相談所は、虐待が疑われるなどとして一時保護の延長を家庭裁判所に申請。審判で児童相談所側の虐待を疑う根拠として、法医学者の鑑定書が提出されました。しかし、理由の記載は約1ページ。虐待を疑った根拠を示す画像や医学文献は記載されていませんでした。

一方、母親側からは脳神経外科医の鑑定書を提出。「赤ちゃんの頭蓋骨はたわむという特徴的な特性があるので、1回だけの頭部外傷でも両側に骨折生じる。今回もその可能性がある」という内容でした。

家庭裁判所は、「母親の説明とけがの状況は矛盾しない。母親に虐待傾向は一切見られず、説明も一貫している」と指摘。あと2カ月の間に、「(児相側の)医師の鑑定が信用できるかを再検討し、自宅引き取りに向けた準備の期間にする」という内容でした。

この家裁の判断で、まもなく長女が戻ってくると思っていた母親。しかし、児童福祉司から告げられたのは、想定外の方針でした。
【児童福祉司】
「長期間施設に入所させる審判申し立ての予定は変わらない。裁判は勝負みたいなところがある。勝算がないとは思ってない」

結局、児童相談所は、長期間の施設への入所が必要だとして、家庭裁判所に新たに審判を申し立てたのです。これにより、一時保護がさらに続くことになりました。

しかし、審判が始まっても、児童相談所からは新たな証拠の提出もなく、裁判官の勧告により、児童相談所は審判を取り下げました。一時保護から約8カ月後のことでした。

母親は「不注意での事故だったのに、ここまでの親子分離がなぜ必要だったのか」、その真相を知りたいと裁判に訴えました。

■ 一審で大阪地裁は「違法」と判断

大阪高等裁判所

裁判では、裁判官が担当していた児童福祉司に疑問を投げかける場面がありました。

【裁判官】
「児童相談所として、家庭裁判所で具体的に示された検討をしなかったということですね」
【児童福祉司A】
「していません」

【裁判官】
「家庭裁判所は(鑑定書の)信用性について検討してくださいと。故意の虐待の可能性について検討してくださいと言われたわけですよね。そう理解しなかったのですか」
【児童福祉司A】
「おっしゃっている意味が分かりません」

【裁判官】
「なぜ分からないのですか。もう家庭裁判所の理由は尊重しなくていいとお考えになっていたということですか」
【児童福祉司A】
「そんなことは…」

去年3月、大阪地裁は、「家庭裁判所の指摘があった後、速やかに他の医師の鑑定を求めていれば一時保護の必要がないと認識できた」と指摘。

その上で、家庭裁判所の審判から1カ月経った後も、3カ月半にわたって一時保護を継続したことは違法だと判断しました。

さらに、約2カ月間の面会制限についても「行政指導なのに、事実上強制的に行われた」として違法だと認め、大阪府に対し100万円の損害賠償を命じました。

大阪府は「この判決が確定すれば児童相談所の対応の大部分は違法ということになりかねない」として控訴しました。

控訴審では、双方で和解の協議が行われましたがまとまりませんでした。

これまで児童相談所の一時保護や面会制限に関する対応について高裁で違法と判断された裁判例は見当たらず、8月30日の判決が注目されていました。
■一審に続き…大阪府に損害賠償の支払い命じる

母親と長女(8月30日・大阪高裁)

8月30日の判決で、大阪高裁(黒野功久裁判長)は、一審と同様に一時保護継続と面会制限についての児童相談所の対応の違法性を認めました。さらに、一審では約2カ月間における面会制限を違法としていましたが、大阪高裁は、毎日の面会が認められるまでの約5カ月間続いた面会の部分的な制限も違法だとして、一審から32万円増額した132万円の損害賠償の支払いを命じました。

判決を傍聴席で長女と一緒に聞いていた母親は、長女の頭をなでながら、溢れてくる涙をずっと堪えていました。判決直後、母親は「一度も会えなかった2カ月間だけでなく、その後も短時間しか会わせてもらえなかった面会制限の辛さにも裁判所が理解を示してくれて嬉しかった」と話しました。

8か月前