世界の常識は「共同親権」、日本に根強い反対の声-たたき台を初提示

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-30/S06DVCDWX2PT01

沢和世

2023年8月30日 13:20 JST

法制審議会(法相の諮問機関)の家族法制部会は29日、離婚後も父母双方に「共同親権」を認めるとするたたき台を提示した。離婚後の親権について、正式に「父母の双方又は一方を親権者と定めるものとする」との案が示されたのは日本で初めてだ。

  日本は主要7カ国(G7)の中で唯一、離婚した夫婦に法律上の共同親権を認めていない。ふつうだと思われている単独親権は世界から見ると非常識とされかねず、ようやく制度面からの見直し機運が高まり始めた。

  背景の一つには、離婚した片親が子どもを日本に連れ去ることが問題となってきた経緯がある。ハーグ条約は両親の離婚に伴い、片方の親がもう片方の親の同意なしに子どもを国外へ連れ出すことを禁止する。日本も加入するが、それ以前に共同親権の考え方がないことが連れ去りのきっかけになり得ることから、民法改正の議論が活発になっている。

  ただ、国内には依然として反対意見も根強い。2022年12月から約2カ月間パブリック・コメントを募ったところ、個人の意見では共同親権に「反対」との声が「賛成」の約2倍に上った。ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待被害への懸念があるためだ。こうした声を念頭に、たたき台はDVなどの被害が起きているケースでは、例外として父か母のいずれかが親権者になれるとした。

  このほかたたき台は、養育する親がもう一方の親に養育費を請求できる権利を付与する案も盛り込んだ。日本では、離婚世帯のうち養育費を常に受け取っている母子家庭がわずか28%で、ひとり親世帯の相対的貧困率は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でワースト2位だ。

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