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2023年8月11日 06:00
元卓球女子日本代表で五輪メダリストの福原愛さんの長男連れ去り問題が話題になったばかりだが、同じような問題はほかにも起きている。10日、東京地裁で食品大手「ミツカン」を相手に創業家次女と結婚していた元娘婿が損害賠償請求をした訴訟の判決が出た。元娘婿は長男と引き離されたと主張。一体どうしたというのか。
元娘婿の中埜(なかの)大輔氏はミツカンに対して異動命令や解雇が無効だとして損害賠償請求をしていたが、東京地裁は請求を棄却した。判決後の会見で大輔氏はぼう然とした表情で、「判決の内容は極めて不当。徹底的に戦う」と控訴すると話した。
そもそも元娘婿とミツカンの間に何があったのか。ミツカンは「味ぽん」で有名な食品メーカーで1804年創業。愛知県半田市に本社があり、創業家の中埜家が同族経営してきた。
大輔氏が中埜家に婿入りしたのは2013年のこと。中埜家次女とのお見合い結婚がきっかけだった。大輔氏は「私は中埜家に尽くすと婿として結婚を決めた。一生懸命ミツカンで働いた。ところが、私たち夫婦に子どもができ、男の子と分かってから(義理の両親の)態度が変わった」と振り返った。
中埜家は約200年にわたり、男子が一子相伝で「又左衛門」の名前を継いできたという。娘ばかりだった義理の両親にとっては待望の男の子だった。当時、大輔氏と妻は英ロンドンに住み、ミツカン英国支店にいた。「生後4日目に義理の両親がやってきて養子縁組の書類を持ってきたのです」(同)。息子を義理の両親の養子にする話だったという。
サインして終わりではなく、その後、大輔氏は家族のいるロンドンから関西への配転命令が出た上に解雇、さらに妻とも離婚となった。〝種馬〟扱いされただけでなく、「息子と会えず、声も聞けない。どこにいるかもわからない」と、父子引き離しにも遭っていると嘆いた。4年会えていないという。
子どもの引き離しや連れ去りは社会問題化している。最近では福原さんの件が話題になった。福原さんは元夫の江宏傑氏から長男を連れ去っており、江氏が日本で記者会見。未成年者誘拐罪で福原さんを告訴する考えを主張していた。
大輔氏のケースは引き離しだが、福原さんの件について、「(自分のケースと)非常に酷似している。会えないのはかわいそう。日本の親子法制の問題が現出している。日本も批准している子どもの権利条約の第9条にある通り、親子を引き離してはいけないよというのが大前提。それは児童虐待ですよとある。引き離した側が違法性を問われる社会になってほしい」と話した。
また、ミツカンは非上場なのだが、最近話題になっている中古車販売大手ビッグモーターも同じく非上場だ。大輔氏は「やっていることは違うけど、構造は似ています。非上場で同族(経営)という閉ざされた世界です。私の場合は『(ロンドンから日本に)片道切符で飛ばす』とか(元義父に)言われましたから」と話した。ビッグモーターでは副社長だった創業者の息子が頻繁な人事異動を行っていたとされている。
今回は棄却となったが控訴する。「英国でも戦おうと思います。実は英国で1回裁判を起こして、父子の面会の権利を得ました。しかし、無視されている。また私が英国に行くしかない」(同)
ミツカンは判決を受けて、「当社の主張が認められたものであると理解しています」とコメントし、判決は妥当だとした。