福原愛はなぜ「悲劇のヒロイン」思考を捨てない? 「子どものために」という言葉を多用するワケ

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8/6(日) 11:01配信
デイリー新潮

福原 愛

 ラブラブアピールするカップルほど離婚する。よく言われている定説を裏付けてしまったのが、愛ちゃんこと福原愛さんと江宏傑さんではないだろうか。結婚当初は新婚リアリティーショーにも出演、カメラの前でキスを連発していたのに離婚。今や子どもをめぐって「誘拐」の言葉も出るなど穏やかではない。

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 広末さんの騒動と重なるところが多すぎるが、愛ちゃんもまた、当時既婚者だった現在の交際相手とホテルで宿泊したのを撮られただけでなく、直筆ラブレターを渡していたことが報じられている。元夫がゲリラ的に記者会見をするのも、「子どものために」とメディアや世間に慎重な姿勢を求めて苦言を呈するところまで全く一緒だ。

 けれど広末さんと唯一違う点は、愛ちゃんは不倫を認めていない。お泊まりデートが報じられた時は相手が既婚者だったことを知らなかったとさえ言われている。後に交際相手の元妻から慰謝料請求訴訟を起こされたが、逆に恐喝を受けたと警察に訴えた。最終的に元妻が訴えを取り下げたものの、「略奪しておいて被害者ぶるなんて」と相当愛ちゃんのイメージダウンになったとみられている。

 思うに、愛ちゃんは「悲劇のヒロイン」思考が強い人なのだろう。夫が身勝手である、世間は誤解している、メディアは無責任である。彼女が発信する他責思考のメッセージは、「私の方が被害者なのに」という考え方と相性がいい。

 お泊まりデートのきっかけは、個人事務所設立に伴う仕事の悩みを相談したかったから、と直筆の釈明文を出した愛ちゃん。しかし数年前に食事会で会っただけの、それまでやりとりもなかった男性にわざわざ連絡を取ったという経緯には、多くの人が首をかしげた。

 離婚理由には江さんのモラハラがあったともうわさされているが、理解のない夫と慣れない仕事で疲れ切った人妻、という筋書きに乗ってくれる相手は、内情をよく知る長年の知り合いでも、女性でもダメだったのだろう。夫と子どもを海外において横浜で過ごす3日間は、「悲劇のプリンセスに許された運命の3日間」という設定だったのかもしれない。案の定のめりこんだのは愛ちゃん側で、“相談相手”の元妻の暴露によれば、「大好き」と書かれたラブレターや果物を贈ってきたりしたという。

 今は元夫が世界に向けて彼女の行動を批判している最中だが、愛ちゃんはまた「世界規模で恥をかかされるなんて、私は悲劇のヒロイン中のヒロイン」という思考に酔うだけではないだろうか。今月頭には元夫による記者会見に関し、代理人弁護士代表を通じて「(福原さんは)一方的に攻撃を受ける社会的な弱者であり被害者」との声明を出した。法的な決着がどのように着くかはわからないものの、事態が長引けば長引くほど、愛ちゃんの他責思考が強まるだけだと思うのである。

泣き虫愛ちゃんと呼ばれて……「悲劇のヒロイン」思考のきっかけとなったのは幼少時の「イメージ搾取」? 

 ただ広末さんにしろ愛ちゃんにしろ、同情してしまう点は確かにある。それは幼い頃から、天真爛漫な女の子というイメージを過剰に求められ続けてきたことだ。

 広末さんの奇行や、できちゃった婚の背景には、「太り過ぎれば仕事が来なくなる」「子供ができれば仕事を入れられなくなる」という、過度な仕事の量やプレッシャーに対する彼女なりの抵抗だったと後に著書やインタビューで明かしている。

 愛ちゃんもまた、「泣き虫愛ちゃん」というふれこみゆえ、幼い頃は「泣くまでカメラを向け続けられた」そうだ。ウッチャンナンチャンの南原清隆さんも、番組の企画とはいえ、「泣いた愛ちゃんと記念写真を撮る」というミッションをクリアするために、泣かせるまで追い詰めざるを得なかったのが心苦しかったという話をしていた記憶がある。

 大人が求めるイメージどおりに振る舞うよう、強要され続ける。そんな少女時代は、確かに彼女たちが「自分は被害者」と思うのに十分なものだったかもしれない。ただ皮肉なことに、大人になった彼女たちが頼るのは、屈辱感を与えてきた「言うことを聞けば大事にしてやる」というような大人たちでしかなかったといっては言いすぎだろうか。

 批判にさらされ続ける愛ちゃんだが、テレビの仕事から完全引退はしていない。春にTBSの「オールスター感謝祭’23春」に出演した時は大きな反響を呼んだ。もっとも、当時のネットニュース記事では「大手芸能事務所幹部に不倫疑惑を扱わないよう依頼した」などの記述もあった。12月にテレビ東京で放送が決定しているワールドテーブルテニス(WTT)ジャパンのゼネラルマネージャーにも就任しており、とても「社会的弱者」だとは思えない。
ベストマザー賞にもそっぽを向かれた? 「泣き虫アスリート」から「周囲の無理解に耐える母親」イメージにこだわる理由

 日本では有責理由がある場合でも、親権は母親が持つことが多いと指摘されている。母性とか自己犠牲とか、「ママは子どもを守るもの」と神聖視する風潮が根強いのかもしれない。

 だから愛ちゃんも、「子どものために」という言葉を使いたがるのだろう。「不倫疑惑のあるよく泣く元アスリート」では印象が悪いが、「幼い子どもを抱えるワーキングマザー」となれば強くは批判されにくい。元夫の行動も「子どもに配慮のない暴挙」と、父親としての適性のなさを指摘することで、より自分の「周囲から理不尽に攻撃されながらも子どもを守る母親」イメージを強固にできる。

 なお今回真っ先に検索したのが、「ベストマザー賞」受賞歴だったが、意外なことに愛ちゃんは受賞していない。

 今やいわくつきの賞となってしまったが、歴代の顔ぶれよりも支持を得られていないということから考えると、どこまで健気なママというイメージを世間が持っているかはちょっと怪しい。ただ、世間の風当たりが強ければ強いほど「悲劇のヒロインのわたし」思考は強まるのだろう。もっとも、悲劇の渦中にいるのはそれこそ彼女の子どもたち。子どもたちにとって良いスタートとなる判断が下されることを、願わずにはいられない。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部

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9か月前