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5/15(月) 11:01配信
読売新聞オンライン
毎年、新たに18万人
離婚届
毎年、新たに18万人の子どもが親の離婚を経験している。子どもたちはその時、どう感じ、何を思っているのだろうか。
【図表】4月に施行された「こども基本法」の理念。子どもが意見表明する機会確保を明記した
当時2歳。それでも両親のケンカの場面はよく覚えている。「壁にくっついたガムみたい」に貼り付いた記憶。男児(11)は「仲直りすればいいのにって思ってた」と話す。
母親(38)によると、夫婦仲が悪くなるにつれ男児から笑顔は消え、そばを離れなくなった。離婚を決めて荷造りする時、「お父さんとお母さんは一緒に暮らせなくなったんだ。だから荷物を詰めるんだよ」と幼い息子に伝えた。どこまで理解できるかわからなかったが、いつもと違う光景に抱く不安を少しでも取り除きたかった。
男児の今の夢は「恐竜博士」。掃除が得意で、母親と協力して大抵の家事もこなす。時々、「なんで(パパと)ケンカしたん」と聞いてみる。母親は「どっちかだけが悪いわけじゃない。友達とだって、お互いに悪いところがあるからケンカするやろ」と答える。できる限り説明を尽くすのは、「その中から自分なりの答えを見つけ出すだろう」と思うからだ。
離婚が及ぼす子供への影響
「離婚する大人は、子どもにどうした方がいいと思う?」。記者が男児に尋ねると、「子どもが聞いてきたことには、ぜーんぶ対応すること」と教えてくれた。
「その方が親も子どもも気持ちが楽になる」男児の今の夢は「恐竜博士」。掃除が得意で、母親と協力して大抵の家事もこなす。時々、「なんで(パパと)ケンカしたん」と聞いてみる。
母親は「どっちかだけが悪いわけじゃない。友達とだって、お互いに悪いところがあるからケンカするやろ」と答える。できる限り説明を尽くすのは、「その中から自分なりの答えを見つけ出すだろう」と思うからだ。
「仲直りしてほしい」「自分のせいなのではないか」
親の離婚に直面する子どもの心情は複雑だ。
未成年時に父母の別居・離婚を経験した1000人に行った法務省の調査(2021年)では、8割が両親の不仲を「知っていた」「薄々感じていた」と回答。当時の気持ち(複数回答)は「仲直りしてほしい」(30%)が最多で、「家族がバラバラになってしまう」(24%)、「早く離婚・別居してほしい」(21%)が続いた。「自分のせいなのではないか」(16%)と感じていた人もいた。
別居や離婚後の健康面の影響(複数回答)では「精神的不安定」(20%)、「だるさを感じた」(10%)、「腹痛」(同)などがあった。一方、不仲であることやその原因について、4割が「父母から説明はなかった」と回答。2割は別居時に親に伝えたいことがありながら、伝えられていなかった。
子の気持ち、離婚後の養育を学ぶ講座も
一般社団法人「家族のためのADR推進協会」(東京)代表で、元家裁調査官の小泉道子さん(45)は「子どもの不安は、今の状況や今後どうなるかがわからないことから生まれる。離婚の渦中にいる親は素通りしてしまいがちだが、『説明すること』が子どものメンタルケアで最も大切なことだ」と強調する。
海外では、離婚手続きとして、子どもの心理や離婚後の養育について学ぶプログラムの受講を義務づけるケースもある。2019年度から厚生労働省は講座を行う自治体に補助をスタート。堺市や神戸市で行われている。
同協会も東京都内の自治体などと講座を開催。年齢に応じた子どもへの影響や、「激しい口論や深刻過ぎる話は目の前でしない」「子どもの聞き役になる時間を持つ」といった対応を紹介する。
高校生の娘を持つ50歳代の女性は受講後、夫への愚痴を姉妹のような感覚で娘にこぼしていた自分に気がつき、自制するようになったという。「私に気を使い、話に同調するなどしてくれていた。本人は気づいていないかもしれないが、自分の半分を否定されるのだから苦しかったろう」
小泉さんは「出産前に両親学級を受けるように、離婚前には子どもの気持ちなどを学ぶ講座の受講が当たり前になってほしい」と話す。
(年齢などは2023年2月の新聞掲載当時の情報)
※この記事は読売新聞が制作し、Yahoo!ニュースが企画したテーマに参加したものです。