【豪州紙一面記事】82名ものオーストラリア人の子供が日本で【合法的に】誘拐されている

Taque

https://note.com/npo_kimito/n/n5c931e012aa9

Taque

2023年3月20日 15:06

オーストラリア主要3紙である、The Herald, The Age, 60 minutesが、日本における実施誘拐及び単独親権の闇に関する合同調査を行い、2023年3月19日に同時に記事を公開した。オーストラリア人被害者のみならず、日本社会全般の問題であることを的確に指摘している。以下はThe Sydney Morning Herald 紙からの抄訳である。( 非常に長い記事であり第一部のみ)

訳者注

日本人の元配偶者に子供を誘拐されたオーストラリア人の親達は、何年にもわたって我が子と連絡が取れず、両政府に緊急の行動を要求している。

The Sydney Morning Herald より 文 Eryk Bagshaw、Natalie Clancy

82人のオーストラリアの子供が誘拐されている

東京。バス3台の子供たち。笑っている子もいる。泣いている子もいる。夏には庭でシャボン玉を吹くことや、砂の城を作ることを好む子供もいる。彼らは全員、オーストラリア人の親達の生活から姿を消してしまった。
 
真夜中に、夜明けに、または学校の放課後、2004 年以来、82 人のオーストラリア人の子供が日本のパートナーに実子誘拐され、オーストラリア人の親と二度と会えないままでいる。
 
3つの新聞、The Sydney Morning Herald, The Age, 60 Minutesの合同調査によると、これは、数十人の親を心の限界まで追い込み、子供を精神科病棟に送り込み、家族を引き裂く、実親による誘拐システムの始まりにすぎないことが明らかになった。日本の警察はインターポールの発行した行方不明者通知を繰り返し無視し続け、司法制度は両親が子供たちに面会できることを保証する裁判所命令を執行することを拒否しているため、彼らの嘆願に耳を貸さなかった。

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日本政府の統計によると、日本では毎年 20 万組の夫婦が別居しており、子供たちの 3 分の 1 は、この国の単独親権制度の下で親の 1 人との接触を完全に失っている。識者は、この数字は日本の人権記録の汚点であると言う。

フランス当局は、日本で実施誘拐された100名以上の同国籍の子供を特定した。米国 は475名 - 国連、フランス上院、米国下院で日本政府は非難を浴びている。オーストラリア政府が日本で誘拐されたと特定したオーストラリア人の子供の数は、過去 2 年間だけで 68 人から 82 人に増えており、オーストラリアとアジアにおける最も重要なパートナーとの間の友好関係を脅かしている。
 
これらは前例のない程の国際的な圧力であるが、日本政府を揺さぶるにはほとんど役立っていない。彼らによると、「これらの係争は私的な問題に過ぎず、また、単独親権制度は配偶者間のDVから保護するのに必要」とのことである。
 
日本の単独親権制度においては、子供の生活に関するすべての決定を、現状維持のまま、 一方の親が完全にコントロールできる。学校教育から、子供の住む場所、親のアクセスに至るまで全てである。この単独親権制度に反対する人々は、この制度が大規模な親による実子誘拐を助長し、もう一方の親が子供の生活から永久に締め出されていると主張している。多くの場合、最後に子供と一緒にいた母親または父親に親権が与えられ、子供を奪い、もう一方の親がそれに気づく前に姿を消すという、誘拐競争が続けられているのだ。
 



メルボルン生まれの 2 人の子供の父親であるダニエル・ポトッキ(Daniel Potocki)氏は、次のように述べている。
 
ポトッキ氏は、東京の北にある群馬で、子供達のエミリアとルーカスがその母親に連れ去られて以来5年間、一度も我が子に会えていない。
 
「子供達の成長を見続けることができないのが苦しい。夜、一緒に祈ることができなくて寂しい。子供達と遊んであげたい。」と彼は言う。
 
13 歳の娘の病院や学校の記録にアクセスしようと何年も戦ったが無駄であった。彼は今、彼女の身の安全を心配している。昨年、彼は彼女が精神科病棟にいることを知った。しかし、彼は、横浜郊外の野原で弟と一緒に乗馬をしていた娘とは口をきくこともできない。
 
「私の娘は、3回児童保護施設に連れて行かれました。彼女が最後に連行されたのは、母親と口論になり、自殺しようとしたからです」と彼は語る。
 


オーストラリア人、ダニエル・ポトッキ氏の日本人の元妻が、5年前に子供を誘拐した。

2004年以来、国の単独親権制度の下で日本人の親に引き取られた、別居中の両親の82人のオーストラリア人の子供たちの中に、ポトッキ氏の子供達、エミリアとルーカス・ポトツキは、含まれている.
 
「このあるべき関係に欠けているのは私だけです。私がそこにいるとき、娘は私がそこにいることを知っていたので、保護されていると感じ、安心感を得ていました。」
 
「まるで私は存在していなかったようだ」
 
ポトッキと日本人の妻との関係の、負のスパイラルは、典型的なパターンに従っている。
 
若いオーストラリア人は、しばしば英語を教えたり勉強したりするために日本に移住し、現地の日本人と恋に落ちる。彼らには子供がいるが、数年後、それらの関係のいくつかは悪化する。ポトッキの場合、彼は仕事上の口論の後で二人の関係が崩壊したと言う。 The Herald、The Age、60 Minutes による、このシリーズで取材した 12 人の両親のように、ポトッキの婚姻関係が終わったとき、46 歳のポトッキは、それが二度と自分の子供を抱くことができなくなるとは夢にも思わなかった。
 

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デビッド・フレミング(David Fleming)は、ある日午前6時に東京で教師として出勤した。その後、15 年間連れ添った妻から、彼女は彼らの子供を連れて家に戻るつもりはない、というメッセージを受け取った。
 

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豪州で子供に会える日を待ち続けるDavid氏


1年後、彼の3人の子供、レオン、ユージーン、アランは、大阪南部の岸和田市で元妻と交際していた男性の養子になっていたことを知った。
 
「彼らは名前をその男の姓に変更した」と彼は言う。 「4年以上子供達の写真を1枚も見ていません。」
 
トゥーンバ出身の 38 歳の彼が最後に子供達を見たとき、彼らは 9 歳、7 歳、1 歳でした。そのうちの 2 人は 10 代に突入し、もはや会っても認識できないかもしれない程に成長している。アランは学校に通い始めたばかりである。
 
「まるで私は存在すらしていなかったようです」とフレミング氏は言う。
 
彼は今、ブリスベン郊外の田舎の所有地で、誘拐された子供たちの写真を保持している。
 
「すべてが一挙に破壊され地に落ちた。子供たちの誘拐は完全に計画的でした。そして彼女はすべての貯金を自分の銀行口座に入れました。」
 
「私はその日、一日中外出していたが、元妻はあっさりと子供たちを連れ去って消えてしまった。それで終わりです。彼女は全てを得ることができた。実施誘拐する親がしなければならないことはそれだけです。子供たちを連れ去れば彼らは勝つのです。」
 
「私たちの関係は非常に険悪になり、離婚が近づいていることはわかっていたので、それは問題ありませんでした。しかし子供たちが永遠にいなくなるとは夢にも思わずでした。」


国連の戒告

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日本はオーストラリアで最も人気のある旅行先だが、このフレミング氏や日本に住んでいる何十人ものオーストラリア人の親が苦しんでいることに気付いている観光客は殆どいない。
 
「ピンク色の桜と、美しい笑顔と美しい景色。観光客の目にはそれしか映りません。その通りです」とフレミングは言う。 「しかし、いったんヴェールを外すと、この国では恐るべきことが実際に起こり続けていることがわかります。」
 
フレミング氏は、誘拐された自分の子供に会おうとしてきたオーストラリア人の親達のうちの言わば「第三世代」の一人である。彼らは、2004 年以来オーストラリア政府によって認められた 82名の誘拐された子供は、総数のほんの一部であると言う。第一世代と第二世代の人々の多くは、精神的に破壊され、もはやこの問題について話すことができなくなり、自己保存の行為として子供達に会おうとする試みを断念してきた。
 
彼らの子供たちは既に成人しており、誘拐した親の側から何年にもわたって、もう一方の親が死亡したか、子供を捨てて逃げて行ったなどと言われて育った。後年、オーストラリア人の父親または母親と再会できた者は殆どいない。
 
The Herald、The Age、60 Minutes は、オーストラリア系日本人の子供を誘拐したとして告発された各親に連絡を取ろうとしたが、その全員がコメントを拒否した。
 
置き去りにされた側の親は、暴力や虐待の申し立てを否定し、起訴されたことはない。裁判所命令で子供に面会を許可した人もいるが、その命令は執行されておらず、全て単独親権を持つ親の気分次第であると言う。


目次

広島大学家族法学部准教授の高田恭子氏

広島大学の家族法の准教授である高田恭子氏は、日本の家族法は、完全に男性優位の社会において、虐待的な関係から逃れた後、女性を経済的および感情的に保護するように設計されていると述べる。しかし、日本の性役割が徐々に現代化され、1960年代には0.7%であった離婚率が、今日では33%にも急増するにつれて、100年前の制度はもはや機能していない。
 
「場合によっては、不安や感情的な葛藤のために母親が元夫に会えないこともあります」と彼女は言う。
 
日本のDV対策のインフラも遅れをとっており、虐待状況にある人は、容易に警察からの保護を受けることができない。その一方で、家庭内暴力の罪になど問われたことのない親が、単独親権の全面的なルールによって自分の子供との関係から排除されている。
 
国連人権委員会は11月、子どもを親から引き離す状況を放置し続ける日本を非難し、「子どもの誘拐が頻繁に起きていることを懸念している」と述べ、日本政府の「適切な対応の欠如」を批判した。
 
子供の権利に関する国際条約は、子供が双方の親に会う権利を持つことを求めている。
 
Scandinavian Journal of Public Health誌による 2016 年の調査では、片親しかいない子供は、心理的な不調が高く、メンタルヘルスが悪化するリスクが高いことを裏付けている。
 


「私は彼の奴隷のようだった」

場合によっては、日本の制度は、保護されるべき側の者にとってさえ機能していないように見える。
 
日本人女性、サオリさんの夫は、隣人に悲鳴が聞こえるほどまで、彼女と息子を虐待した。それから彼はすべての部屋に監視カメラを設置した。彼は息子に母親と話をしないように命じ、電子機器の使用を禁止した。 「私は夫の奴隷のようでした」と彼女は言う。
 
身の安全を守るため、下の名前だけを使う条件で取材に応じてくれた日本人のサオリさんも、仕事を持ち収入を家庭に入れる母親だった。 「私は夜遅く帰宅したが、夫と息子はいなくなっていました。彼の弁護士の名刺がテーブルの上に残され、「何か言いたいことがあれば、私の弁護士に連絡しろ」という手紙だけが残されていました。」
 
事態に驚嘆したサオリさんは、息子が誘拐されたと警察に告げると、「それは家族の問題だと言われるだけでした。」
 
虐待夫に子供を誘拐された日本人の母親サオリさん。
 
それから18 か月近く経った今でも、息子がどこにいるのかわからない。アザ、脅迫、医師の報告書、監視カメラなどのDVの証拠を日本の高等裁判所に提出したにもかかわらず、彼女の親権の訴えは1月に却下された。裁判所は、彼女の夫が過去 1 年間、子供と同居し、現在は学校生活に慣れているため、彼女の夫が子供の主たる養育者であるとの判決を下した。
 
「息子は今月末で 10 歳になるのですが、誕生日が近づくと苦しむだけです」と彼女は涙ながらに語る。
 
高田准教授は、こういった判決は珍しいことではないと言う。 「このような状況が日本で起こっているのは、それまでと同じ環境を維持することが、子供の利益につながると裁判所が考えているからです」と彼女は言う。
 
高田准教授は、日本の家族法の変更を望む親は、まず怒りを和らげるべきだと言う。
 
「まず、彼らは自らの欲求不満を落ち着かせる必要がある。彼らは、家族に対して、より優しく協力的な行動を示すべきだ。日本の家族文化はそれほど悪くないと私は考えている。状況はかなり改善された。」
 


「国家による拉致」

オーストラリア人の父親であるスコット・マッキンタイア氏は、日本の制度全体が彼のような実施誘拐被害者の親に対して、敵対的に機能していると考えている。マッキンタイア氏は、2019 年 5 月に、自宅から、彼の二人の子供達、ヒナタとハルゴを連れ去られた。二人の子供達は国際行方不明者として識別され、マッキンタイア氏はそれを示すインターポール発行の黄色い通知を持っている。
 
「私の子供達がどこにいるのか分からないだけでなく、彼らの顔さえも分かりません。彼らが何をしているのか私には分かりません。彼らが学校にいるかどうかも分かりません。彼らがCOVIDで亡くなったかどうかも分かりません。彼らが事故にあったかどうかかどうかも、分かりません」と彼は語る。
 
「そして私にとって最も耐え難いのは、4年間で子供たちが大きく変化することです。もはや彼らがどのような姿になっているか想像することすらできません。」

「『近代民主主義国家』としての顔を持つ日本が、どうしてこうなってしまったのか。父親が通りで子供達と出会っても、気づかずに通り過ぎ、子供たちを認識できないようにまでなるような国とは一体何なのか」
 
The Herald、The Age、60 Minutes が 1 月にシドニー出身の父親と一緒に東京警察を訪れたとき、警察は彼に対して何もできないと返答した。
 
「これは警察の問題ではありません」と東京の警察官は言い放った。
 
「それは日本という国家が後押しする拉致以外の何物でもない」とマッキンタイア氏は語った。
 

2年前