共同親権、賛否割れる中…議員たびたび介入、中立性に疑義も

役人が答申も出てないのに、見送り決められるんですね。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/233589

2023年2月28日 06時00分

 離婚後も父母双方が子の親権を持つ「共同親権」を導入する民法改正案の今国会提出が見送りになった。賛否が割れる中、自民党の推進派の介入により、法案化の前に国民の考えを聴く法務省のパブリックコメント(意見公募)のスケジュールに影響が出るなど曲折もあった。子どもの利益を守ることが大前提となる親権問題。まだ議論の行方は見えない。(大野暢子)

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◆両論併記の試案に異論

 共同親権を推進する超党派議連のメンバーは24日、早期の法案提出を求める決議を斎藤健法相に提出した。議連事務局長で自民党の三谷英弘衆院議員は「現状の単独親権の下で、暴力や虐待がないのに親から引き離される子が少なからず存在する」と強調した。

 議連は「配偶者に子を連れ去られた」「離婚後、子に会えていない」などと悩む父母らの相談を受けてきた議員らが中心。離婚の原因が配偶者の暴力の場合、共同親権では相手から逃れにくくなるとの懸念も指摘されるが、メンバーは「夫婦の別れが親子の別れになってはいけない。暴力や虐待があった時だけ単独親権にすべきだ」と主張する。

 昨夏、法務省がパブコメを準備している時に波紋が広がった。推進派議員が圧力をかけたためだ。法相の諮問機関で、有識者らで構成する法制審議会部会が単独親権のみを維持する案などを併記した中間試案をまとめ、法務省が自民部会に示した際、出席者が「原則共同親権であるべきだ」と反発。秋の予定だったパブコメの延期につながった。

◆参考資料作成に原案から関与

 最終的に自民部会は中間試案を了承したが、パブコメは予定より約3カ月遅れた。しかも推進派は、回答する国民が判断材料にする参考資料の作成に原案の段階から関与。参考資料は中間試案とともに、昨年12月上旬から約2カ月間行われたパブコメのサイトで一般公開された。

 法務省は「外部の意見を資料に反映してはいけないという決まりはない」と説明するが、導入に慎重な有志の弁護士グループは「共同親権に誘導する内容になっている」と注意喚起し、中立性に疑義を唱えた。

 2月16日、日本弁護士連合会は共同親権導入の是非について「一致した意見の表明は困難」とする意見書を公表した。

 離婚後も父母が共同で養育する方が子の利益になるなどの意義とともに、子を巡る適切な決定ができなくなり、暴力などの支配が続く恐れがあるとの懸念も明記。各都道府県弁護士会の見解にも触れ、「両論併記とする会が多数」で、単独親権のみの維持を推す会も「相当数あった」と明らかにした。

 共同親権を巡る議論が活発になっているのは確かだが、法制審部会の案も一本化していないのが現状。子ども政策に詳しい末冨芳すえとみかおり日本大教授は「家庭内の暴力被害者を支える仕組みが脆弱ぜいじゃくな中、拙速に導入に踏み切ると、子の利益にならない」と指摘した。

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